「旧耐震マンションは買うな」は思考停止なのか…営業マンが語らない物件購入の“不都合な真実” 将来「スラム化」するマンションを避ける方法とは

都内マンション価格は高騰を続け、「もはや一般的なサラリーマンには手が届かない」という論調がメディアを賑わせている。しかし、YouTubeチャンネル「内見ゴリラの持ち家ジャパン」を株式会社ゴリラマウンテンと共同運営する不動産会社経営者・寺尾祥之氏は「明確な戦略さえあれば、資産価値の高い物件を購入し、勝ち組になることは十分に可能だ」と語る。
資産価値が落ちない物件の具体的な見極め方から、プロが注目するコストパフォーマンスに優れた都内の穴場エリアまで、後悔しないマンション購入の極意を同氏に余すところなく解説していただいた。全5回の第2回。
目次
リノベーション費用を払ってでも「都心」を選ぶべき理由
前回の記事で見たような郊外のエリアに比べて、港区のような都心の一等地はどうでしょうか。そこは、日本全国、あるいは世界中の人々が「ここに住みたい」「ここにオフィスを構えたい」「資産として投資したい」という、多様で強大な需要が常に集まってくる場所です。買い手の母数が、郊外とは比較にならないほど圧倒的に多いのです。たとえ建物が古くても、「この立地こそが欲しい」という人はほぼ必ず現れます。それも、経済的に余裕のある富裕層や高所得者層が多いため、市況によっては購入時よりも高く売れる可能性すら十分に秘めているのです。
結論として、郊外の築浅物件は「買う時」の満足度は高いかもしれませんが、「売る時」に苦労するリスクを内包しています。それに対して、都心の築古物件は、購入後にリノベーションなどの手間やコストはかかるかもしれませんが、「売る時」の安心感、つまり資産としての安定性が全く違うのです。
これが、「出口を見据えた物件選び」ということの、具体的かつ本質的な意味なのです。
「不動産は立地がすべて」は本当なのか
「出口戦略」という揺るぎないマインドセットが固まったところで、次に、具体的な物件選びのポイントを詳しく見ていきましょう。将来にわたって資産価値が落ちにくく、むしろ上がる可能性すら秘めている優良な物件には、いくつかの明確な共通点が存在します。
まず、不動産は「立地が全て」とよく言われますが、これは幾度となく繰り返しても足りないほどの、紛れもない事実です。全ての判断は、ここから始まります。
先ほどの港区の例でも触れましたが、需要の多いエリア、つまり「住みたい」と思う人が多いエリアを選ぶことが大前提となります。都心の主要駅へのアクセスが良いことはもちろんですが、最寄りの駅から物件まで徒歩10分以内であること、さらに欲を言えば複数の鉄道路線が利用できるターミナル駅であることなども、資産価値を長期的に支える重要な要素です。