ノーマーク「植田日銀」誕生の舞台裏、麻生・茂木・岸田の日本料理店3時間半密談と消えた”幻の雨宮総裁”

2月6日、日本経済新聞は日銀総裁の後任人事について「雨宮氏打診」と報じたが、2月9日には一転して、日経を含めた各メディアが一斉に「後任に元日銀審議委員の植田和男氏」と報じた。一体、この間に政府では何があったのだろうか。なぜ雨宮氏ではないのだろうか。ジャーナリストの佐藤健太氏が解説する――。
黒田総裁の右腕、雨宮氏…黒田総裁の金融緩和策の修正に抵抗
岸田文雄首相は、注目されていた日銀の黒田東彦総裁の後任に、元日銀審議委員の植田和男氏を起用する方針を固めた。正式には、衆参両院での所信聴取・質疑、同意を経て就任し、10年間続いた黒田体制による大規模金融緩和政策は修正されていくものとみられている。だが、日経新聞や時事通信などは、次期総裁として “本命視” された雨宮正佳副総裁が固辞した結果、植田氏に白羽の矢が立ったと解説している。就任への「打診」があった、とまで報じられながら、ひっくり返った背景には何があったのか――。
日経新聞は2月6日に、政府が雨宮氏に総裁就任を「打診」したと報じ、この日の円相場は一時1ドル=132円台半ばまで円安が進んだ。日銀生え抜き組の「エース」として知られる雨宮氏は、早い段階から「ポスト黒田」候補としてメディアで取り上げられてきた人物だ。金融政策の企画・立案を担う企画畑が長く、豊富な知識と経験に加えて国際人脈も併せ持ち、2018年からは副総裁として黒田総裁の「右腕」となってきた。