高市早苗に「新論破王」の声…1カ月続く追及でも見えぬ着地点に関係者「小西さんは何がしたいのだろう」サル解散へ
総務省が作成した放送法の「政治的公平性」に関する政府解釈の行政文書が公開され、苦境に立たされるとみられた当時の総務相、高市早苗経済安全保障担当相が反転攻勢に出ている。連日のように国会で続く野党議員の閣僚辞任要求に対し、高市氏は「やましいことがないのに職を辞することはない」と一蹴。自らに関する文書内容は「捏造(ねつぞう)だ」と反論し、野党側に手詰まり感が漂っているのだ。政経アナリストの佐藤健太氏は「追い詰められない野党の甘さが改めて浮き彫りになった。新たな『論破王』の誕生は、岸田文雄首相が再選を目指す来年秋の自民党総裁選にも大きく影響するだろう」と指摘している。そして小西議員のサル発言を追い風に「解散総選挙」の観測が永田町を駆け巡るーー。
いまだに続く、野党の執拗な高市早苗氏への追及
立憲民主党の小西洋之参院議員が「総務省職員から入手した」と内部文書を公開し、放送法の解釈見直し問題を提起したのは3月2日。総務省は同7日、小西氏が示した文書は総務省作成の行政文書であると認め、野党は「一部の権力者によって都合のいい解釈に放送法が私物化されている」(小西氏)などと1カ月近くも高市氏らを厳しく追及している。
80枚近い行政文書の中身は、2014~15年の安倍晋三政権時代に礒崎陽輔首相補佐官が放送法4条にあるテレビ局の「政治的公平性」をめぐり「1つの番組でもおかしい場合があるのではないか」と問題視。従来の「放送事業者の番組全体を見て判断する」との政府解釈を正すよう総務省側とやりとりしていた、というのがメインだ。
ただ、この間の国会質疑を見ていると、追及の矛先はもっぱら高市氏に向かい、それも文書内容を「捏造」と言い切った点にフォーカスが当てられているように映る。たしかに当時総務相だった高市氏は、2015年5月に「1つの番組」でも「極端な場合」には政治的公平を確保しているとは認められないとの見解を示している。礒崎氏の問題視に端を発し、高市氏の国会答弁までのプロセスがどうだったのかは検証する意味もあるだろう。