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恐怖!新聞記者のリストラ連鎖「広告費は20年で3分の1に」新聞記者を辞めるまでの4つの準備と、辞めて上手くいく人の4つの特徴

 みんかぶプレミアム特集「リストラ連鎖」第7弾は、元プレジデント編集長でメディア事情に詳しい作家の小倉健一氏に、発行部数、広告費ともに激減を続ける新聞業界の苦境と未来、リストラが吹き荒れる新聞記者の生存戦略について語っていただいた。

目次

ウェブメディアに転職した元新聞記者が味わっている地獄

 朝日新聞、毎日新聞、産経新聞……。大新聞が相次いで希望退職を募っている。ウェブメディアを中心に転職先は見つかりやすくなっているが、給料ダウンは免れない。また、新聞社は日々のルーティン取材以外では「記者が書きたいこと」「社会性があること」を優先して記事にする風潮があるが、ウェブメディアにいけばまず数字を問われてしまう。ウェブメディアに転職した元新聞社記者が企画案をだしても、編集長、デスクから「その記事はどれくらいPVがとれますか」という問いには答えられない。

 当然20代、30代前半までは、すぐにデジタルのやり方に適応できる。これまでの環境とはガラリと変わるのでかなりのストレスはかかるが、可能だ。しかし年をとるにつれ、その環境変化によるストレスは大きくなり、適応スピードも落ちる。

「これまで大切にしていたことが全部否定されたのです……」

 そう語るのは50代の元全国紙記者の男性だ。会社の早期退職に応募し、知り合いのつてを辿(たど)ってウェブメディアの編集部員になった。しかし……。

「『見出しは簡潔に』『大切なことは最初に書く』という、新聞社では当たり前のことにまずダメ出しをくらいました。見出しはキーワードをできるだけ詰め込んだ方がクリックされますし、大切なことは文章の最後の方に書かないとスクロールしてくれませんし、回遊率も下がります」

「それだけではなく、週1の企画会議でも毎回恥ずかしい思いをしています。他の編集部員が、今のインターネットトレンドなどから捻りに捻った企画を次々出していくのに対し、私は時事のネタを追った当たり障りのないような企画しか出せません。そもそも新聞記者のプライドが邪魔をして、PVを狙いにいくような企画をやりたいと思えないですし、毎回つまらない企画案を発表しては、会議で失笑を誘っています。地獄です」

「また数字で、自分のダメダメさが全部バレてしまうのも辛いです。PVランキングで自分の記事が上位にあがることは、ほぼありません。PVの高い記事の方が当然広告収入も多くなるので、私なんか給料泥棒ですよ。若い社員はそういうことを口にこそしていませんが、心では思っていることでしょう。完全に腫れ物扱いです」

新聞社にしがみついていた方が幸せだったのかもしれない…

 その男性は、早く年金がもらえる年齢になりたいと願っているという。

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この記事の著者
小倉健一

1979年生まれ。京都大学経済学部卒業。国会議員秘書を経てプレジデント社へ入社、プレジデント編集部配属。経済誌としては当時最年少でプレジデント編集長就任(2020年1月)。2021年7月に独立。現在に至る。 Twitter :@ogurapunk、CONTACT : https://k-ogura.jp/contact

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