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もはやイデオロギーが強すぎる…ESG投資ブーム終了のお知らせ「地球沸騰、もうESGには頼めない」米欧分断、揺れる日本

 日経新聞の上級論説委員兼編集委員である小平龍四郎氏は「『ESG』という概念をG(ガバナンス)を軸として見直す時期がきている」と指摘するーー。

米国では政治色が強くなりすぎた一方、欧州では「ESG」当たり前に

 「温暖化」(ウォーミング)ではなく「沸騰」(ボイリング)。異常な熱波が地球を覆った今年の夏。気候変動問題を柱のひとつに据える「ESG(環境・社会・企業統治)」投資」もさぞや活発かと思いきや、どうも様相が異なる。むしろ、株式市場で高い存在感を誇ったアルファベット3語が、いよいよ消えようとしている。

 米国では政治色が強くなりすぎ、アンチの法律までつくられた。もはや、ESGを標榜する資産運用会社は公的年金のビジネスを失う。逆に欧州では「ESG当たり前」となり、わざわざ強調するほどのこともなくなった。そして日本では株主総会での関連提案への支持が広がりに欠ける。

 気候変動などの「E」や人権・多様性などの「S」は、取締役会の在り方、つまり「G」の問題に帰着する。企業統治は企業経営の扇の要だ。投資家もGを軸にして戦術を再考しなければならない。

ESGブームは異様だった

 マーケットの取材を30年以上続けている筆者にとって、「ESG」ほど市場で長期間語られ続けた造語はほかにはちょっと記憶にない。日本経済新聞朝刊に限り「ESG」の語句を含む記事数を記事データベースの日経テレコンで年ごとに検索すると、2015年の28本から20年には471本と約17倍に急増。22年にはさらに2倍弱の837本に増えて最高を更新した。気候変動リスクへの対応やサプライチェーン(供給網)の人権尊重や女性登用など、さまざまな環境・社会問題が資本市場の領域で語られるようになったからだ。

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この記事の著者
小平龍四郎

1964年生まれ。静岡県出身。早稲田大学第一文学部卒業。日本経済新聞入社後は主に金融・証券畑を歩き、「山一証券破綻」「村上ファンド登場」などの特報にかかわる。欧州総局(ロンドン)やアジア総局(バンコク)を経験し、現在は日経新聞の編集委員。専門は証券市場、ESG/SDGs、企業統治。著書は「グローバルコーポレートガバナンス」「アジア資本主義」「ESGはやわかり」。 Twitter:@Kodaira_Nikkei

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