「緑は増えるのになぜ…」先鋭化する神宮外苑再開発反対派「これでは伊勢神宮もサイゼリヤもアウト」…とにかく木を切るな!で自然は守れない

元プレジデント編集長で作家の小倉健一氏が、神宮外苑の再開発を巡る反対運動の違和感を解説するーー。
芸能人の神宮再開発批判、読めば読むほど理解していない
神宮外苑の再開発をめぐって、反対運動が先鋭化している。音楽家の「坂本龍一さんの遺志継ぐ」として、経営コンサルタントのロッシェル・カップ氏は、神宮外苑の再開発に「樹木を守る」立場から反対し、サザンオールスターズの桑田佳祐氏が曲をつくり、作家の村上春樹氏も反対を表明した。彼らの発言一つ一つを読むと、どうとでもとれる内容しか言っておらず、あくまで印象操作に近いので、議論が深まることは決してない。サザンに影響されたのか、突然降って湧いたように、神宮外苑問題について語り始めた音楽業界の人たちがいるのだが、記事で読む限り、明治神宮の問題を曲にしたこと自体が「桑田さん、かっこいい」の域をでていない。誤解も多い。
例えば、音楽プロデューサーの松尾潔氏は、<例えば福岡だったら、けやき通りの街路樹が全部なくなりますということが決められたらどうなるでしょう? あるいは、大濠公園の池を埋め立てます、ということが、いつの間にか決まったら? というふうに、我がことに引き寄せて考えてみると、この歌も違った見え方がするでしょう。桑田さんもそういう問題提起をしたいという気持ちが強いと思います>(2023年9月26日『桑田佳祐が神宮外苑再開発に異を唱える歌「Relay~杜の詩」に松尾潔もエール』RKBオンライン)というのだが、外苑の再開発は、街路樹をぜんぶ無くす計画ではなく、むしろ、街路樹は増える計画である。よくわかっていないのに、煽るだけする、というのは問題をややこしくするだけということに気づいて欲しいものだ。
神宮再開発反対派の主張、底知れぬ違和感
やはり、とりあえずの流行に乗っかってくるミュージシャンたちは放っておいて、反対派の中心的人物の一人であるカップ氏の発言から、神宮外苑の再開発を考えた方が、前向きな議論ができそうである。