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東証大混乱!「PBR1倍割れ」対応で連発される「自社株買い」怖すぎるリスク!電気ショック後に待つ「先細り」の末路

 東証が「PBR1倍割れ改善」を要請した報道が出ていたが、その真意は異なるという。日経新聞の上級論説委員兼編集委員である小平龍四郎氏が解説。今後該当企業が取るべきアクションとは――。

日本企業の株価が長らく低迷している理由は「資本コスト」への意識の低さ

 みんかぶマガジンでも何度か取り上げた「株価純資産倍率(PBR)1倍」問題。東京証券取引所が上場企業に対し、PBR1倍割れ企業に対して対策をとるよう求めている、と各所で書かれている。

 しかし、よく調べてみると、東証の要請はPBR1倍の回復ではない。この点については、懇意の東証首脳からも何度か「真意を伝えてほしい」と言われたこともある。東証の「真意」とは何か。こういう時は原点に戻るのが一番だ。

 東証は3月31日に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応等に関するお願いについて」という発表をしている。これが「PBR1倍割れ対応の要請」のことなのだが、タイトルだけではほとんど分からない。発表資料には日本企業の低PBRへの言及もスペースを割かれているが、それは数ある財務・株価指標のひとつという位置づけだ。

 では、東証が最も強調したかったのはどこかといえば、発表の表題にもある「資本コスト」だ。日本企業の株価が長らく低迷し、米国との格差が開く一方の理由のかなりの部分は、日本企業の経営に「資本コスト」の概念が根づいていないからだ。

 資本コストとは、読んで字のごとし。企業が株主から調達した資本のコストのこと。銀行から借りたお金(負債)に利息がつくように、資本もタダではない。

PBR 1倍に向けて自社株買いをしたところで“先細り”が待っている

 資本のコストは配当だと思っている方が少なからずいるが、それは誤りだ。期日までに耳をそろえて返さなければならない負債と異なり、資本は返済期日がない。つまり、「返さなくてよいお金」だ。企業の業績が悪いと値下がりするし、経営破綻すればまっさきに紙くずになる。そうしたリスクが高い分、株式は値上がりというプレミアムもつく。

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この記事の著者
小平龍四郎

1964年生まれ。静岡県出身。早稲田大学第一文学部卒業。日本経済新聞入社後は主に金融・証券畑を歩き、「山一証券破綻」「村上ファンド登場」などの特報にかかわる。欧州総局(ロンドン)やアジア総局(バンコク)を経験し、現在は日経新聞の編集委員。専門は証券市場、ESG/SDGs、企業統治。著書は「グローバルコーポレートガバナンス」「アジア資本主義」「ESGはやわかり」。 Twitter:@Kodaira_Nikkei

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