「若者の支持率」10%! 鬼の岸田政権”所信表明”で熱弁した「事実上の利権誘導」…「減税」は焼き直しか生煮え、問われる「総理の器」

10月22日投開票の衆参2つの補欠選挙では、衆議院長崎4区で自民党が議席を維持した一方、参議院徳島高知選挙区では野党側が議席を獲得した。「民主党が政権交代した2009年並みの逆風を感じる」(自民党・清和会所属議員)という声もあがっており、政権支持率も低迷している。とくに「18~29歳」の支持率は10.3%。「30歳代」も18.1%(いずれも時事通信の10月調査)と低かった。増税の鬼という印象が定着してしまった岸田首相。選挙の翌日に実施された岸田政権の所信表明演説では「減税」がどう盛り込まられるかに注目が集まった。『税金下げろ、規制をなくせ』(光文社)著者で、早稲田大学招聘研究員の”減税の鬼”こと渡瀬裕哉氏は「既存政策の焼き直しまたは生煮えだった」と解説するーー。
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正直言って拍子抜けの感は否めなかった
10月23日、岸田政権の所信表明演説が実施された。注目ポイントは同演説の中で「減税」がどのように盛り込まれるかであったが、正直言って拍子抜けの感は否めなかった。具体的に、岸田首相が言及した「減税」は、9月25日記者会見時にも言及した賃上げ税制の減税措置強化や特許に関する減税制度、そして新たに戦略物資(鉄、石油など戦時経済の維持に必要な物資)に関する投資減税だけであった。
賃上げ税制は2013年から既に実施されてきており、新規の政策ではなく、既存の政策の焼き直しということになる。同制度による減税額実績値は2021年度で大企業向け980億円、中小企業向け1451億円の合計2431億円であり、この減税政策を強化すると言っても規模の多寡が知れている。
特許に関する減税制度は、経済産業省、厚生労働省、農林水産省の3省によって8月31日に提案された2024年度税制改正の「イノベーションボックス制度」を指す。ただし、ほんの1カ月前の同税制改正の資料では、その規模は精査中とされており、政策としての生煮え感が否めない。また、仮に同制度を導入できたとしても、既に2000年代から欧州を中心に導入されてきた政策であり、周回遅れも甚だしいため、今更誇れるような話ではない。