かえってイデオロギーが先鋭化してしまう…「自民党の派閥はあった方がよい理由」(三浦瑠麗)
国際政治学者三浦瑠麗氏の全3回短期集中連載「政界再編」。第1回のテーマは自民党。派閥解消が相次いでいるが、一体それは何を生み出すのか。「権力闘争と大義は一体だからだ。権力闘争なき大義には力がなく、大義なき権力闘争には意味がない」。三浦瑠麗氏が派閥の本質を語るーー。
目次
「派閥解消」は権力闘争
岸田文雄首相の「宏池会解散」宣言を皮切りに、自民党の派閥解消が相次いでいる。宏池会以外に会計責任者が起訴された清和政策研究会、二階派に限らず、森山派や谷垣グループも解散。自民党の「政治刷新本部」の中間とりまとめを受け、派閥解消に反対していた茂木敏充氏率いる茂木派も政策集団への移行を表明した。今回のスキャンダルは派閥の資金集めと議員個人への還流金のあり方、不記載、使途などが問題となっているが、派閥を解消することと政治資金改革はイコールではないはずだ。なぜ自民党は派閥解消に雪崩を打ったのだろうか。
それを理解するためには、東京地検特捜部が捜査に入って話題となった一連の「パーティー券売上還流金不記載」問題の構造を政治のリアリズムの観点から読み解く必要がある。特捜は独立した行政機関であり、いざ起訴されるとなれば事は司法の場に進み、双方にもし争いがあればそこで決着がつくことになる。社会的注目が大きい事件ゆえに裁判で負ければ責任問題となるため、起訴判断と捜査の権能を併せ持つからといって全くのフリーハンドとはいえないだろう。