止まらぬ中国経済の地獄化に「まるで30年前の日本」…暴落する大手銀行株を買い支える”国家隊”の正体と政府の「貸株・空売りの禁止措置」

中国経済は、かつての日本のように経済の長期低迷に陥る「日本化」が懸念されている。バブル崩壊前後の日本経済と現在の中国経済との間に、共通点が多く見られるのだ。日経新聞の上級論説委員兼編集委員である小平龍四郎氏は「まさに1990年代の日本のようだ」と語る――。
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日本の“失われた30年”を再現しようとしている中国
不動産バブルが崩壊し、経済は失われた10年に突入――。日本の1900年代の過ちを中国がくり返そうとしている。中国はバブル崩壊後の日本経済の教訓を学んではいなかったのか。そう思わざるを得ない光景が広がっている。
PKO。本来は「ピース・キーピング・オペレーション」、国連の平和維持策を意味する言葉だ。しかし、市場関係者にとってのPKOは「プライス・キーピング・オペレーション」、株価の人為的維持策と解釈する。景気や企業業績の善し悪しに応じて上がったり下がったりする株価を国などが様々な策を弄して下支えする。これによって株価のシグナリング機能が奪われ、人々は密かに進行する経済の病に気づかなくなる。つかの間、健康になった気持ちにもなる。しかし、病は確実に進行し、身体をむしばんでいく。病院に行かなければ健康と考えるのと同じで、なんとも愚かしい発想だ。
このPKO政策が不動産バブルの崩壊に直面した中国で採られている。1月29日に中国証券監督管理委員会が発表した「株価対策」は、日本にとっては古色蒼然の内容だった。譲渡制限付き株式の貸株禁止だ。譲渡制限付き株式とは株式新規公開(IPO)や増資、社員の株式報酬などに伴って発行される株式のうち、ロックアップと呼ばれる一定期間の売却禁止条項がふされているものだ。
中国の国家安全省は「空売り」に対して厳しく警告
中国では株価の下落を恐れてIPOや増資などに消極的な企業が増えている。貸株を禁止し、株価下落を招いているとされる空売りを封じ込めれば、株式相場が下支えされて企業活動が正常化するという見通しだ。中国の市場当局は過去にも貸株を制限していたが、今回の措置は、より明示的で厳しい内容だ。