渡辺喜美「自公で過半数割れに」岸田首相は、国民の怒りを理解していない!「次の総選挙では、議席20〜30減では済まないだろう」

日本銀行は3月19日の金融政策決定会合でマイナス金利政策を解除し、17年ぶりの利上げに踏み切った。日経平均株価はバブル期を超えるが、「実感なき最高値」に国民は困惑気味だ。政界は自民党派閥をめぐる「政治とカネ」問題で揺れる中、岸田文雄首相がイチかバチかの解散総選挙に打って出るとの見方も広がる。
激動の2024年の「今」と「今後」について、かつて自民党で行政改革担当相や金融担当相などを務めた渡辺喜美氏に聞いた。最終回は「どうなる政界地図」をテーマにお伝えする(聞き手・経済アナリストの佐藤健太氏)。
目次
岸田首相は、国民の多くの嫌悪感を理解していない
――岸田首相は、今国会会期末の「6月解散」を検討しているとみられていますが、岸田首相の思惑をどう見ていますか。
渡辺喜美
岸田首相はメンタルが強い。内閣支持率が低迷し、政治がグチャグチャになっていても全く堪えていないように映る。大リーグで活躍するドジャースの大谷翔平選手に世間の注目が向いていることを差し引いたとしても、岸田首相は打たれ強いと言えるのではないか。ただ、裏を返せば長所は短所なので、国民の多くの嫌悪感を理解しないということでもある。
4月の補欠選挙では自民党が一部で公認候補を擁立しないと言われている。衆院東京15区の補選には「隠れ自公」の都民ファーストの会系候補を出し、小池百合子東京都知事が応援に入るのだろうか。ただ、先の八王子市長選のように勝とうとしても、補選というのはあくまで国政選挙であり、有権者の投票行動は全く異なるだろう。
――4月の補欠選挙で敗北すれば、岸田首相(自民党総裁)の立場は危うくなるのではないかとの見方も浮上しています。
渡辺喜美
岸田首相が9月の自民党総裁選で再選されるためには、どうしてもその前に国民の「お墨付き」を得なければならない。一応、6月の定額減税をやれば賃上げと相まって経済を押し上げ、株価はさらに高くなると踏んでいるとしても不思議はない。