2023年、世界で始まる資本主義の新たな流れ…「自然資本」の概念が投資を大きく変える
「君子豹変」した岸田首相…NISA抜本的見直しは「100点満点の200点」
2023年が始まった。投資家にとって今年の注目点は何か。越年したウクライナ危機は残念ながら早期収束の気配に乏しく、インフレを警戒する世界の中央銀行が過剰な引き締めに走り、景気を悪化させてしまうオーバーキルのリスクも高まる。すでに多くの識者やシンクタンクが2023年の経済や市場について見通しを発表しているから、それを改めてなぞることはしない。
筆者は「岸田文雄首相」に注目している。支持率で見れば決して信頼されている首相ではないが、投資家にとって記憶に新しいのは、昨年末の税制改正で少額投資非課税制度(NISA)の恒久化や投資上限引き上げなどを表明したサプライズではないか。2022年12月30日の東京証券取引所の大納会にも姿を現した。関係者の話によれば、岸田首相のゲスト参加はかなり直前に決まったらしく、受け入れる側は相当に慌てたそうだ。
かねて首相は「NISAの抜本的見直し」を口にしていたが、支持率同様、投資家の期待値は低かったはずだ。それが蓋を開けてみれば「100点満点の200点」(兜町の株式ストラテジスト)との声さえ上がるほどの大改革。おっちょこちょいの兜町の住人のはしゃぎすぎは割り引いて捉える必要があるものの、あらためて考えたいのは岸田首相の発想法だ。
岸田首相は発足直後に「金融所得課税の強化」とか「分配と成長」「四半期決算の見直し」など、市場受けしないフレーズの政策を口にし、実際、株価も下がり「岸田ショック」と名づける兜町の地場筋もいた。それを考えるとNISA改革や大納会参加が示す市場への接近は「君子豹変す」の観がある。何が起きたのか。