驚愕の実態…「自分で陰性か陽性かを決める」入国書類手続きに何の意味があるのか、これは何の儀式なのか
後手に回っているとの非難から一転、矢継ぎ早に対策を打ち出す岸田首相
新型コロナウイルスの感染拡大が止まらぬ中、岸田文雄首相が新たな緩和策を相次いで打ち出している。1日あたりの新規感染者は25万人を超えた8月から下降傾向にあるとはいえ、死亡者数が右肩上がりにある状況での方針転換は本当に大丈夫なのか。その急激な見直しには、混乱とともに「3つの不安」が浮かび上がる。
7月の参院選で勝利をつかんだものの、内閣支持率が急落する岸田首相の動きは8月下旬から急に速くなった。新規感染者が8月19日に25万人超を記録し、ピークに達したと見ると、8月24日に「全数把握」を見直す方針を表明。同31日には自ら記者会見を開き、「これまで6回の感染の波を乗り越え、科学的知見やエビデンスを積み重ねてきた。蓄積された知見を踏まえて感染防止と社会経済活動の両立を強化するべく取り組みを進めていく」と述べ、新たな緩和策を打ち出していく考えを力説した。
9月1日には、空港検疫に必要な全情報をスマートフォンなどで事前登録することを可能にするシステム改修を発表し、同7日からは入国・帰国者全員に義務づけてきた出国前72時間以内の陰性証明書提示はワクチン3回接種を条件に不要とすることにした。入国制限についても1日あたりの入国者数の上限を2万人から5万人に引き上げ、従来の水際対策を大幅修正する。
政府は司令塔機能を担う「内閣感染症危機管理統括庁」を2023年度中に設置し、大規模病院に病床提供義務を課す感染症法改正案を今秋の臨時国会に提出する方針で、新型コロナに感染していても無症状であれば、マスク着用などの感染防止対策を条件に生活必需品の買い出しも容認する方向という。
後手に回るコロナ対策のイメージを払拭するかのように、矢継ぎ早に打ち出される新たな緩和策。だが、こうした首相方針には「3つの不安」が浮かぶ。
検査結果は自分で書き込む…ザルすぎる検査体制にあ然
「えっ! 自分で陽性か、陰性かを決めるの?」。8月下旬、3年ぶりの海外旅行を満喫した東京都内の40代男性会社員Aさんは、渡航先のタイで戸惑いを隠せなかった。海外渡航者は帰国の72時間以内に現地の医療機関でPCR検査を受け、その陰性証明書が帰国時に必要となる。「MySOS」アプリやウェブ上で証明書の画像やPDFを事前登録し、付与されたQRコードを空港到着時に提示する流れだ。