地獄の「岸田おろし」が始まる…支持率下落が止まらない中で突如わいた「茂木敏充総理説」

世論調査で岸田内閣の支持率急降下がさらに鮮明に
岸田文雄首相の支持率下落が止まらず、いよいよ「危険水域」を迎えている。マスコミ各社の世論調査で軒並み大幅ダウンが見られていたが、毎日新聞と社会調査研究センターが9月17、18日に実施した調査で、ついに3割を割り込んだ。不支持率は8月から10ポイント増の64%に達し、与党内には危機感が急速に広がる。「人柄は良い」「バランス感覚がある」と評され、一時は高水準を維持した首相の支持率はなぜ下げ止まらないのか。
支持率急落の最大の要因は、首相が即断した安倍晋三元首相の「国葬」開催をめぐる説明力不足や、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)問題で自民党との関係が相次いで発覚していることにあるのは言うまでもない。
毎日新聞の調査では、支持率が29%と政権の「危険水域」とされる2割台に突入した。安倍氏の国葬に「反対」は62%で前回(8月)から9ポイント増加し、旧統一教会問題をめぐる政権の対応を「評価しない」は72%、党所属議員との関係の調査についても「不十分だ」が76%に達している。
支持率下落の傾向は、他の調査も共通する。共同通信の調査(9月17、18日)では支持率が40.2%で前回(8月)から13.9ポイント下落し、不支持率(46.5%)が初めて支持を上回った。「国葬」反対は6割を超え、旧統一教会をめぐる自民党の対応が「十分ではない」は8割以上となった。時事通信の調査(9月9~12日)でも支持率は12.0ポイント減の32.3%に下落、不支持率は11.5ポイント増の40.0%だ。国葬「反対」は51.9%で、旧統一教会問題への首相の対応を「評価しない」が62.7%を占める。
深刻なのは、内閣支持率の急落が自民党の政党支持率にも影響している点だ。時事通信の調査で、自民党を支持する人は前月比1.9ポイント減の22.4%に下降し、毎日新聞でも6ポイント減の23%となった。勝利した7月の参院選から間もないタイミングにもかかわらず、最大与党から人心が離れていくのは珍しい。内閣を支持している人の理由も「他に適当な人がいない」が12.5%(時事通信)とトップで、消極的な支持にすぎない。来年春の統一地方選挙を控えて政権与党内には動揺が走る。
なぜ、次の総理は茂木敏充なのか
支持率が下げ止まらない背景には「3つの理由」が浮かび上がる。1つ目は、首相のキャラクターに起因するものだ。岸田氏には今、永田町や官僚の中で「3分の男」との異名が密かに付けられている。その理由を首相と最近面会した閣僚経験者の1人に問うと、「話がつまらない」との答えが返ってくる。自らの長所に「聞く姿勢」を掲げる首相は、話を聞く時間が大半で「首相の考えを聞きに行っても『うん、うん』と耳を傾けるだけで、ほとんど何も言わない。いざ長く話し出しても、3分も聞いていれば言わんとしていることがわかる」というのだ。記者会見を見ても硬い表情で、あらかじめ用意された文書を読み上げるような口調が見られ、「話が読める、つまらない、深みがない」とのマイナスイメージが広がる。
2つ目の理由は、安倍元首相が築いた自民党の「岩盤支持層」からも嫌悪されている点にある。時事通信の調査では自民党支持層の理解も得られておらず、「国葬」賛成は25.3%にとどまり、旧統一教会問題の説明も「納得できる」は5.5%にすぎない。9月に内閣支持率と不支持率が40%で並んだNHKの世論調査を見ると、自民党の政党支持率は36.2%となっており、その差は4ポイント未満だ。
自民党を支える保守層を中心とした「岩盤支持層」が3割程度であることを考えれば、支持離れが起きていることが想像できる。なお、支持率が下落していた菅義偉前首相の退任直前の調査(2021年8月)は内閣支持率が29%、自民党支持率は33.4%。安倍内閣末期の調査(2020年8月)では内閣支持が34%、自民党は35.5%であり、岸田政権の支持率があと4ポイント下落すれば政党支持率を下回る「退陣水域」となる。
歴史認識や外交姿勢、憲法改正への本気度などで保守層の首相離れは加速しており、保守政治家を代表する安倍氏という後ろ盾を失ったことで「岩盤支持層」からの人気をつなぎ止められなくなったのは致命的といえる。
衆院解散か党内の岸田おろしか…もはや何が起きても不思議ではない
3つ目は、国民が新型コロナウイルス感染拡大と物価高・円安に苦しむ中で、いまだ効果的な政策を打ち出せない点にある。新型コロナの新規感染者数は漸減傾向にあるものの、今冬にも予想される「第8波」到来に不安を抱く人もいる。だが、社会経済活動との両立を急ぐ首相は説得力のある説明をしないまま、水際対策や感染者の「全数把握」などを相次いで見直しており、そうした不安に寄り添っているとは言い難い。