これは政権交代前夜だ…立憲、調査で比例投票先自民党超え「岸田首相はもはや自民の疫病神」

4月の衆院3補選で事実上の全敗を喫した岸田文雄首相(自民党総裁)がピンチを迎えている。選挙分析に定評があるJX通信社と選挙ドットコムの調査で自民党が立憲民主党に追い抜かれたのだ。訪米や大型連休の外遊効果で内閣支持率は好転したとみていただけに、岸田首相は焦りを隠せない。はたして、次期総選挙で政権交代はあり得るのか。経済アナリストの佐藤健太氏が語るーー。
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岸田首相が渡ろうとしている危ない橋
「トップ同士が腹を割って率直に話し合えるような関係を構築することが極めて重要だ。私直轄のハイレベル協議を進めたい。そのために様々なルートを通じた働きかけを一層強めていく」。岸田首相は5月11日に出席した北朝鮮による拉致被害者の即時帰国を求める集会で、北朝鮮の金正恩総書記との首脳会談実現に向けて強い意欲を示した。
これまでも岸田氏は電撃訪朝による政権浮揚を画策し、北朝鮮との交渉を秘密裏に進めてきた。金総書記の妹、与正党副部長から「岸田首相が可能な限り早期に直接会いたいと伝えてきた」などと暴露されたこともある。だが、北朝鮮側は「拉致問題は解決済み」との立場を崩しておらず、被害者の早期救出を求める日本側との溝は一向に埋まらないままだ。
ある外務省幹部は「与正氏は2月に『岸田氏が平壌を訪問する日が来ることもあり得る』との談話を発表したが、これは岸田首相や日本政府に向けたメッセージというよりも韓国や米国に対するポーズ。日米、日韓の結びつきが強まる中で孤立しないよう談話が発せられたにすぎない。それに気づかない岸田氏は単に乗せられているだけだ」と指摘する。つまり、首相は「直轄のハイレベル協議」と意味深長に語っているものの、その実は「危ない橋」の可能性が高いというわけだ。
なぜそんな危ない橋を…?自民党への逆風は『あの時』と似たものを感じる
岸田氏がこれまで以上に強く電撃訪朝を狙う理由は、言うまでもなく危険水域にある政権を浮揚させ、今夏の自民党総裁選で再選することにある。もはや、「それだけしか考えていない」と言っても過言ではないだろう。自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金事件を受けた政治資金規正法改正案や、4月の衆院東京15区補選での「選挙妨害」を踏まえた公職選挙法改正案などの与党間調整も首相のリーダーシップの欠如でスムーズにいかず、もはや外遊以外の“見せ場”は見当たらない。