7割の人が望むFIRE!8000万円リタイア”月30万生活”は本当に幸せなのか…勢いで会社やめた人の2つの盲点

経済的に余裕のある暮らしに多くの人々は憧れる。満員電車や上司の小言といった会社勤めのストレスから解放され、不労所得で毎日の生活を満喫できるのであれば申し分ないはずだ。だが、かつて注目された「FIRE」という生き方は円安進行と物価上昇に加え、国の制度見直しによって再考が必要との見方が広がる。株式会社AlbaLinkが実施した意識調査によると7割の人がFIREを望んでいるという。しかし経済アナリストの佐藤健太氏は「円の価値が目減りし、少子高齢化で将来の年金受給額も下がるかもしれない。国は『老後に2000万円が必要』と言っていたが、それだけでは不足する可能性がある」と警鐘を鳴らす。
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家庭の生活が前年と比べて「向上している」5.4%、「低下している」35.9%
内閣府が3月に発表した「社会意識に関する世論調査」は、人々が何を欲しているのかを感じさせるものだ。それによれば、家庭の生活が前年と比べて「向上している」との回答は5.4%にとどまり、「低下している」は35.9%に上っている。現在の生活に「不満」は50.7%で、自分の所得・収入に「不満」は68.0%と7割近くに達していることがわかる。
この調査が面白いのは、心と物の豊かさについても質問している点だ。まず、「充実感を感じる時」の設問では、1975年5月の調査時に「仕事にうちこんでいる時」との回答が34.8%に上っていたが、今回(令和5年11月の調査)は27.4%に低下している。その一方で、「ゆったりと休養している時」に充実感を感じる人は54.5%と半数を超え、1975年5月調査時(22.8%)の2倍超に上った。
なぜ若者はFIREを目指したがるのか
さらに「働く目的」については、「お金を得るために働く」が64.5%に達し、「社会の一員として、務めを果たすために働く」(10.8%)、「自分の才能や能力を発揮するために働く」(7.2%)、「生きがいをみつけるために働く」(12.8%)はいずれも低下している。この調査から読み取れるのは、生活に必要なお金を確保しつつ、仕事よりも健康や余暇などを重視する人々が増えているということだ。