知ってました?10月から児童手当拡充!対象となるのは…岸田政権「最大の置き土産」と若手議員の奮闘

改正子ども・子育て支援法に基づき、児童手当が10月分(12月支給分)から大幅拡充される。政府は次世代を担う子供の育ちを支える基礎的な経済支援と位置付け、所得制限を撤廃。支給期間は高校生年代まで延長され、第3子以降は月額3万円に倍増となる。経済アナリストの佐藤健太氏は「岸田文雄政権の『最大の置き土産』と言えるもので、所得上限超過のため受給できなかった世帯や高校生年代のいる家庭、多子世帯には恩恵が大きい。少子化を食い止める一歩になることが期待される」と指摘する。
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児童手当はどう変わるのか
6月に成立した改正子ども・子育て支援法で、児童手当は3歳未満の第1子と第2子は月額1万5000円、3歳以上高校生年代(18歳の年度末)までは月額1万円、第3子以降は全期間で3万円に拡充されることになった。これまで支給回数は年3回(4カ月分)だったが、10月以降は年6回(2カ月分)に分けて支給される。また、従来は主たる生計者の年収が960万円以上のケースなどは受給が制限されていたが、今後は所得にかかわらず全額支給される。
岸田政権は2023年12月に「こども未来戦略」を策定し、①若者や子育て世代の所得を増やす②社会全体の構造や意識を変える③すべての子供と子育て世帯をライフステージに応じて切れ目なく支援する―の3点に重きを置いた施策を練り上げてきた。同年6月の記者会見で岸田首相は「少子化は我が国の社会経済全体に関わる問題であり、先送りのできない、待ったなしの課題であるとの思いから、不退転の決意で取り組んできた」と説明。その上で「急速に進む少子化、人口減少に歯止めをかけなければ、我が国の経済社会は縮小し、地域社会、年金、医療、介護などの社会保障制度を維持することは難しくなる。少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスだ」と理解を求めた。
小泉進次郎、村井英樹…若手有望議員の奮闘
主な支援策には児童手当の大幅拡充の他に、男女ともに育休時の手取り額維持や時短勤務への給付、出産費用の保険適用、大学の授業料無償化などがある。支援金制度を含め、岸田内閣での少子化対策の「原型」となったのは、2017年に自民党の「2020年以降の経済財政構想小委員会」がまとめた提言だ。小委員会のトップは小泉進次郎元環境相で、岸田政権で官房副長官を務めている村井英樹衆院議員が事務局長を担い、若手議員が未来志向の政策や制度設計の検討を重ねていた。
当時の提言を読み返すと、時代を先取りした若手政治家による異例の提言であることがわかる。22世紀を見据えて全世代型社会保障を実現する必要があるとして「社会保障給付の改革を徹底的に進めると同時に、少子化対策を抜本的に強化し、若者や現役世代を支援することが必要だ」と指摘。その上で「最大の問題は、社会全体で子育てを支える国の本気度が若者や現役世代に伝わっていないことではないか」と提起していた。高齢者偏重の社会保障は変えるという、若者や現役世代向けの明確なメッセージが必要と訴えている。
「子どもとサッカーをやりながら」
厚生労働省によれば、2023年の合計特殊出生率は1.20と統計開始以来最も低くなった。東京は0.99で「1」を下回り、少子化の進行と超高齢社会の到来は日本の国力を削いでいる。年間出生数が80万人を下回る今、若年人口が急激に減少する2030年代に入る前に、岸田内閣が手を打った支援策の数々は妥当と言えるだろう。若い世代の所得向上に向けた取り組みや共働き世帯への支援などを含めた政策パッケージは、歴代政権で見られなかった大胆なものだ。