石破下ろしの号砲「国賊解散」当落予想…慶應幼稚舎vs中卒フリーター、二階vs世耕「ヤバすぎる選挙区」

石破茂首相(自民党総裁)は戦後最短となる就任8日後に衆院を解散し、立候補予定者たちは10月27日の投開票に向け奔走している。石破氏は「日本創生解散」と表現しているのだが、総選挙の主要テーマは紛れもなく「政治の信頼回復」だ。自民党は派閥の政治資金パーティーをめぐる不記載問題に関係した計12人を非公認にするなど、「政治とカネ」問題の決着を急ぎたい考えだが、有権者はどのような判断を下すのか。結果次第では石破下ろしが本格化する。選挙分析に定評がある経済アナリストの佐藤健太氏が注目選挙区を解説する。
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予測するのが極めて難しい今回の選挙
2021年の前回衆院選から3年、今度の総選挙は従来とは比べものにならないほど予想するのは難しい。まず、「1票の格差」是正のため25都道府県・140選挙区で区割りが改定された。小選挙区の「10増10減」によって東京の定数は5増となり、神奈川は2増、埼玉・千葉・愛知も1増になる。逆に宮城や福島、和歌山、岡山など10県は1減だ。新たな区割りで実施される今回の選挙は「それぞれの『守備範囲』が変わり、票の出方が見えにくい」(全国紙政治部記者)とされ、選挙区調整や「国替え」を余儀なくされた候補者もいる。
加えて、政権与党である自民党には派閥パーティー収入の不記載問題が直撃した。各種調査でも世論の厳しい視線は変わっておらず、それがどこまで投票行動に結びつくのか読み切れないところがある。さらに9月の自民党総裁選で勝利した石破首相は10月9日の衆院解散直前に12人の「非公認」を決定。問題に関与した議員には比例重複立候補を認めず、やむなく無所属での出馬を選ぶ前議員もいる。
石破内閣発足直後の支持率は異例とも言えるほど低い
自民党公認候補であれば、政見放送ができたり、公営掲示板以外にも政治活動ポスターの掲示が可能だったりとメリットは多々あるが、無所属での立候補者にはそれらがない。「比例重複」ではない候補者は選挙区で敗れれば、落選となる。このため、衆院東京6区に出馬予定だった越智隆雄元内閣府副大臣のように不出馬を表明する人も現われた。「空白区」が生じれば、自民党にとっては比例票が減少することを意味する。
石破首相は就任直後の「ご祝儀相場」を狙い、早期解散を断行した。だが、内閣発足直後の支持率は異例とも言えるほど低く、新聞・テレビや週刊誌などは衆院選シミュレーションを重ねるが、現時点でどうなるのかは予測不能と言えるだろう。
和歌山の激戦!世耕vs二階
その中で今回、注目したいのは3選挙区だ。まず、1つ目は衆院和歌山2区。これまで和歌山は3つの選挙区があったが、区割り変更で2つになった。自民党は歴代最長の幹事長を務めた二階俊博氏が今期で引退し、三男の伸康氏を擁立する。4月に県町村会が出馬を要請しており、6月の党県連役員会で満場一致で決まった。