フジテレビ、兵庫県知事選PR会社社長の自宅突撃取材「さまざまなご意見、ご指摘あるのは承知」に批判殺到!“大谷自宅晒し”から何を学んだのか

かつて“民放の雄”と言われたフジテレビが「迷走中」だ。就職難易度が高く、高給取りで知られる社員たちは羨望の眼差しを向けられることが多いが、一方で同業他社すらもドン引きさせることは珍しくない。米大リーグ・ドジャースで活躍する大谷翔平選手の新居報道で批判を浴びたのに続き、今度は兵庫県知事選で話題となったPR会社社長の自宅突撃に踏み切ったのだ。ネット上には「本当にこりない面々」「そういうとこだぞ、フジテレビ」などの批判があがる。11月29日の同局での定例会見では林毅専務が「さまざまなご意見、ご指摘あるのは承知しております。我々としましては取材、番組制作の詳細については控えさせていただきます」と語ったが、なぜフジテレビの「ふてほど」エピソードは止まらないのか。林専務は「取材を尽くすというのは、一つの我々のやり方、長年やってきた方法でございます」とも弁明したが、果たしてそれを世間は受け入れるのか。経済アナリストの佐藤健太氏が解説するーー。
目次
大谷翔平の家を晒して謝罪したばかりなのに
「取材を尽くすというのは、長年やってきた方法。そのことが良いか悪いかという判断について、色々な意見が出ていることは受けとめていくしかない」。フジテレビの小林毅専務(報道担当)は11月29日の記者会見で、社長宅取材や番組制作の詳細は控えると強調した。
フジテレビは今年、大谷選手が米ロサンゼルスに購入したとされる「新居」を突撃取材し、報道局が制作する夕方のニュース番組『Live News イット!』は近隣住民のインタビューなどを断行した。これらは住所特定につながると問題視され、港浩一社長は「大谷選手とご家族、関係者の皆さまにご迷惑をおかけし、大変申し訳なく思っている」と謝罪に追い込まれたばかりだ。大谷選手は報道に激怒したとされ、ワールドシリーズ優勝後のインタビューを拒否したとも伝えられる。
11月の兵庫県知事選で返り咲きを果たした斎藤元彦知事と「広報全般を任された」とアピールしたPR会社の折田楓社長に対しては、12月2日に公職選挙法違反容疑での告発状が兵庫県警などに送付された。ただ、フジテレビによる折田氏の自宅突撃はそれよりも早いタイミングで、インターホンを押すなど“雲隠れ”状態を強調する姿勢には「まだ犯人でもないのに、そこまでする?」といった批判の声が上がった。
「フジテレビの放送免許取り消しを提案することを検討」
「NHKから国民を守る党」の浜田聡参院議員は11月28日の「X」(旧ツイッター)に「・大谷選手の自宅紹介 ・折田楓氏への自宅凸 フジテレビの存在は国益を害すると思います。国会ではフジテレビの放送免許取り消しを提案することを検討します」と投稿する事態に発展した。
さらにフジテレビは、ドジャースが世界一となった大リーグ・ワールドシリーズのダイジェストを日本シリーズ開催時間帯に放送。これに日本野球機構(NPB)は「信頼関係が著しく毀損された」と問題視し、取材パスを没収する騒ぎとなった。フジテレビの小林専務は「見解の相違があった」とするが、なぜフジテレビではこうした問題が次から次に起きるのかナゾだ。
人気番組「逃走中」の劇場版撮影でロケ地の住民に迷惑をかけてクレームが寄せられたり、新人アナウンサー・上垣皓太朗氏の容姿を先輩アナらがイジって炎上したり、不思議なほどに「ふてほど」エピソードが多いと言える。その背景を同業他社はどう見ているのか。あるテレビ朝日社員は「よそのことを悪く言いたくはないが、フジテレビは『ノリノリ意識』を持った人が多いのではないか」と見る。
フジテレビの頂点には、かつて民放連会長を務めた“絶対王者”の日枝久・フジサンケイグループ代表が君臨する。同グループはテレビや新聞、ラジオ、映画、音楽など日本最大級のメディア・コングロマリットで、政財界にも幅広い人脈を持つ日枝氏は「メディアのドン」と位置づけられる存在だ。
メディア界の“ドン”と言えるほどの影響力
たとえば、テレ朝は早河洋代表取締役会長が権勢を誇っているが、日枝氏は民放のみならず、メディア界の“ドン”と言えるほどの影響力を持つ。先のテレ朝社員に聞けば「日枝氏に嫌われたらメディアで生きていけない」というほどのレベチな存在なのだという。もちろん、数々の「ふてほど」エピソードは日枝氏が原因ではないのは明らかだ。ただ、「頑張って気に入られたいと思っている社員は多い」(フジ社員)のも事実という。