テレビジャーナリズム「終わりの終わり」…「内向きに腐敗」のフジテレビ、「外向きに独善化」のTBS

テレビメディアの信頼が揺らいでいる。近年の一連の不祥事や偏向報道の問題が、その根幹を揺るがしている。特にフジテレビとTBSのケースは、組織の腐敗と報道姿勢の問題を浮き彫りにした。ジャーナリズムの理念と実態の乖離、視聴率偏重の体質、報道機関としての自浄能力の欠如——これらの問題は深刻だ。果たして、テレビは公正な報道機関としての信頼を取り戻せるのか。それとも、もはや限界なのか。経済誌プレジデントの元編集長で作家の小倉健一氏が、揺らぐテレビジャーナリズムの現状を考察する。
目次
テレビメディアの信頼崩壊。公器としての使命はどこへ
現代社会においてテレビメディアの信頼は大きく揺らいでいる。かつて社会の公器と目された存在の価値は著しく低下した。放送は本来、有限の電波資源を利用する性質上、高い公共性を担保する必要がある。権力からも大衆からも独立し、真実を追求するジャーナリズム精神こそ、テレビメディアの存在意義の根幹であったはずだ。
近年のフジテレビとTBS『報道特集』を巡る問題は、テレビメディアが本来持つべき公共性、ジャーナリズム精神を喪失し、自らの役割を放棄している惨状を露呈している。フジテレビの性加害隠蔽問題は組織の内向きの腐敗を、TBS『報道特集』の偏向報道問題は外向きの独善を示している。両者は様相こそ異なれ、テレビジャーナリズムの終焉を告げる象徴的な出来事と言えるだろう。公共の電波を預かる「第4の権力」として、テレビ局は今、深刻な岐路に立たされているのである。