石破総理がトランプの更なる怒りを買う可能性…日本に残された‟交渉カード”を無視する日本政府の深い罪「鍵はパリ協定離脱検討」

トランプ関税を巡り石破茂総理の対応には批判が集まる。そもそも総理就任後もなかなか首脳会談を実現させることができなかったわけだが、実現したとてこの有様である。テレビ番組で石破氏はトランプ氏について「相性はあうと思う」などと発言していたが、全くコミュニケーションがとれていないことがうかがえる。しかしそんな石破氏にも「トランプの盟友」になれるチャンスはまだ残されているという。米共和党関係者に太いパイプを持つ、早稲田大学招聘研究員で国際政治アナリストの渡瀬裕哉氏はその鍵に「パリ協定の離脱」をあげる。詳しく解説していく。全3回の第2回ーー。
目次
追加関税を回避する友好な手立て
トランプ大統領との貿易交渉のカードとして、エネルギー資源の輸入が候補として挙がっている。
米国は第一次トランプ政権下でエネルギー純輸出国に転換しており、そのエネルギー資源を日本が購入することは極めて自然なことだ。ただし、米国産のエネルギー資源はシェールガス・シェールオイルであり、その価格は若干割高であるとされている。また、その資源埋蔵量の規模等を疑問視する向きもある。しかし、米国の東欧・中東などでのプレゼンス低下が予測される中、日本が単独で中東からのエネルギー輸入のためのシーレーンを防衛できるはずもなく、米国からのエネルギー輸入を増加させることは多少のプレミア価格を払っても十分に価値があるものであろう。そして、米国からのエネルギー資源購入は日米の貿易不均衡を是正するものとなり、トランプ政権からの追加関税を回避する友好な手立てとなる。
一方、トランプ政権は日本がエネルギー資源購入を増加させることは、日米交渉の前提として既に織り込み済のはずだ。トランプ政権からの要求をこれだけで満たすことは極めて難しい。したがって、日本側からトランプ大統領を驚かすほどの大胆な提案、しかも日本の国益にかなった内容を提示することが求められる。
石破茂がトランプの更なる怒りを買う可能性
2月頭に実施された日米首脳会談において、石破首相はアラスカ開発に関してトランプ大統領との間で協議を行っており、その内容は日米首脳共同声明の中にも盛り込まれた。トランプ大統領はアラスカ開発を就任早々の大統領令で高らかに謳っており、共和党議員達からの期待度も極めて高いものだ。しかし、帰国後の国会答弁の中で、石破首相は民間企業同士が行うべきことで経済産業省が場を設定する、という極めて消極的な答弁を行っている。日本の民間企業や経産省自体も決して同プロジェクトに前向きではないからだ。