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トランプ関税騒動、実は「中国の一人負けだった」…米共和党に近いアナリスト「結局米国は孤立しなかった」一方で指摘する台湾有事の危険性

 トランプ関税を巡り、日経平均が乱高下している。やるといったり、90日間は停止するといったり、中国に対してはやるといったり……。投資家はトランプ大統領の一言一言に翻弄されている状況だ。しかし、米民主党に太いパイプを持つ早稲田大学招聘研究員で国際政治アナリストの渡瀬裕哉氏は今の状況について「中国の一人負けだ」と指摘する。一体どういう意味なのか。詳しく解説していく。全3回の第3回目ーー。 

目次

「中国への関税だけが本気だ」

 トランプ大統領の相互関税90日間停止は依然として予断を許さないものだ。世界中の国々がトランプ大統領に頭を下げない限り、追加関税の対象となることは誰も否めない。トランプ大統領による相互関税の布告は、世界最大の軍事力、そして世界最大の消費市場を有する米国の力そのものを見せつけた一幕だった。

 さて、トランプ大統領による関税を用いた米国の示威行動に対して、唯一大規模な報復関税に打って出た国がある。中華人民共和国がその国であり、更に言及するなら中国共産党のみが同大統領に膝を屈することが無かった。彼らは果敢にも米国に対する報復関税を宣言し、現在に至るまで関税引き上げの応酬を行っている。

 ただし、米国と中国は関税の応酬がスパイラル状態で行われることは元々想定されていたため、両国の当局者間には特に大きな驚きはないものと思う。今年1月、筆者がトランプ政権発足直後に米国を訪問してトランプ系シンクタンクや保守系シンクタンクで話を聞いた際、「中国に対する関税だけが本気だ。他の国に対する関税は全て交渉の道具に過ぎない。」という趣旨の話を何度も耳にした。もちろん、中国当局者が筆者が入手できる情報を知らないはずがないので、彼らは今回の関税合戦を受けて立つことを事前に想定していたと考えるべきだ。

中国の誤算…世界がトランプに恭順を誓った

 しかし、今回のトランプ相互関税に際して、中国側に誤算があるとしたら、それは「世界中の国々が米国に恭順を誓ったこと」だろう。米国が世界最大の消費市場であることは疑いない事実であるが、中国の国内市場規模も世界第二位の規模を誇っている。そのため、中国と関係が良好な国またはトランプ政権と距離を置く国・地域は、中国に近い立場を取って米国との貿易関係を見直す国があってもおかしくはなかった。

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この記事の著者
渡瀬 裕哉

1981年生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。 早稲田大学公共政策研究所招聘研究員、事業創造大学院大学国際公共政策研究所上席研究員。機関投資家・ヘッジファンド等のプロフェッショナルな投資家向けの米国政治の講師として活躍。2016年トランプ大統領当選、2020年民主党による大統領・連邦上下両院勝利を正確に予測し、米国政治に関する分析力に定評がある。『メディアが絶対に知らない2020年の米国と日本』(PHP新書)、『2020年大統領選挙後の世界と日本 』(すばる舎)、『なぜ、成熟した民主主義は分断を生み出すのか』(すばる舎)

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