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日本の企業ガバナンス、2つの課題…「居座るダメ経営者、どうやったら退出させられる?」求められる制度改革

(c) AdobeStock

 日本で企業統治を巡る改革が進んでいる。その背景にはアクティビスト投資家の存在感の高まりがある。日本の株主は権利が強すぎるともいわれ、それを「過剰な圧力」と感じる経営者もいる。ただ、本当にそうなのだろうか。日経新聞の編集委員である小平龍四郎氏が解説していく──。

目次

アクティビスト投資家の存在感の高まり

 企業と株主の関係は、いつの時代も変化してきた。しかし、近年の日本ではその変化が一層急速だ。企業統治(コーポレートガバナンス)改革が本格化してからおよそ10年が経ち、いま再び「株主の力とは何か」をめぐる議論が熱を帯びている。

 企業の経営に対して、株主がどう関わるべきなのか。提案や発言を通じて変化を求める権利はどこまで保障されるべきなのか。そして、その声は、果たして本当に経営の中枢に届いているのか。制度のあり方を見直そうとする動きと、それに対する反発──その対立の奥には、現代の資本主義が抱える葛藤と、未来の経済社会のかたちが映し出されている。

 2024年に入り、株主提案権のあり方について見直しを求める声が経済界から相次いでいる。経済産業省が主導する研究会では、会社法の改正を視野に入れた報告書がまとめられ、関西経済連合会からも意見書が出された。さらに、経団連の幹部も「株主提案のルールを見直すべきではないか」といった発言を公にしている。

 背景にあるのは、アクティビスト投資家の存在感の高まりだ。とくに海外のファンドを中心に、企業の経営に積極的に意見し、場合によっては役員人事や資本政策にまで踏み込む提案を行うケースが増えてきた。それが市場の健全性を保つための「健全な緊張感」であるという見方がある一方で、「過剰な圧力」と感じる経営者も少なくない。

制度の目的と実態との間にズレ

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この記事の著者
小平龍四郎

1964年生まれ。静岡県出身。早稲田大学第一文学部卒業。日本経済新聞入社後は主に金融・証券畑を歩き、「山一証券破綻」「村上ファンド登場」などの特報にかかわる。欧州総局(ロンドン)やアジア総局(バンコク)を経験し、現在は日経新聞の編集委員。専門は証券市場、ESG/SDGs、企業統治。著書は「グローバルコーポレートガバナンス」「アジア資本主義」「ESGはやわかり」。 Twitter:@Kodaira_Nikkei

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