トランプ関税15%合意で自動車業界はウハウハだが…国際的投資家「いずれ増税圧力がかかり庶民が苦しむことになる」沸騰する生成AIバブルで実は“怪しい”AI銘柄リスト

本稿で紹介している個別銘柄:イメージ情報開発(3803)、メタリアル(6182)、リミックスポイント(3825)、ブレインパッド(3655)、カラダノート(4014)、HENNGE(4475)、PKSHA Technology(3993)、HEROZ(4382)、日立製作所(6501)、NEC(6701)、富士通(6702)、ALBERT(3906)、ABEJA(5574)
7月23日、日米間の関税交渉がついに合意に至った。いわゆる「トランプ関税」が24%から15%に引き下げられる形になり、石破政権の外交的勝利と見る向きも多い。しかし、海外市場にも詳しい株式評論家の木戸次郎氏は「今回の15%での合意は、自動車業界などに恩恵をもたらしはしても、いずれ増税圧力として重くのしかかってくる」と指摘する。どういうことなのかーー。
みんかぶプレミアム特集「トランプ関税 買い時?激動ニッポン」第3回。
目次
「スマホ時代の選挙」の様相がより濃くなった参院選
かつて、「いつもニコニコ現金払い」なんてフレーズが街に踊っていた時代があった。いまやその言葉は死語となり、財布すら持たない若者が駅の改札を通り抜け、ラーメンを食べ、選挙情報までスマホで済ませる時代になってしまった。便利? たしかにそうだ。
だが同時に、私たちはその四角いガラスの板に生活も思考も“預けすぎた”ように思う。スマホを失えば、情報も金も仲間との連絡も失う。いや、それどころか自分の「判断」そのものも放棄しつつあるのではないか。
X、TikTok、Instagram……いずれもが「見出し」と「感情」でできている。「マジか。ついに●●が発表!」「これはヤバい→」「●●な人は今すぐ注意!」こんな見出しが連日飛び交い、誰もが短文に反応し、「いいね」や「拡散」で終わる。中身はどうでもいい。とにかく“映え”ていればよいのだ。
読解力は衰え、「流し読み」が日常となり、人々は“わかったつもり”で何かを信じ、誰かに賛同し、投票すらする。これが、いまの選挙の現場である。
2025年7月に行われた参院選はSNSに乗っ取られた選挙であったといってよいであろう。今回の参院選では、選挙に関連する動画のほとんどが政党でも候補者でもない「第三者」による投稿だったという。なんと、その中には外国のIPから送られた怪しい動画や、特定宗教団体の思想を忍ばせた誘導コンテンツも混じっていたそうだ。そして、その動画に触れた人たちが、感情と直感で「これだ」と信じこんで票を投じた。
つまり、事実かどうかよりも、“響いたかどうか”が選挙結果に影響を与えたのだ。SNSで政治が決まり、AIが動画を作り、人がそのフェイクに感動する。こうなってしまった今、選挙とは果たしてなんなのだろう。
国民の怒りを拾い上げた参政党は、かつての創価学会のようだ
既成政党、とくに自民党と公明党は、庶民からは今回の選挙ですっかり見放された。円安の中で物価は上がり、ガス代も食料品も高くなっているのに、給料は変わらない。その一方で、インバウンド向けのホテルや百貨店は外国人で大賑わい。「なんで私たちだけ、損しているんだ?」という庶民の声があちこちで聞こえてくる。
そうした“怒り”や“違和感”を、ストレートに拾い上げたのが参政党だったといえる。つまり“怒りの受け皿”的な存在だったのだと思う。
「ワクチンは危険だ」「自給自足を」「グローバリズムにNOを」こうしたメッセージは、論理ではなく“感情”に刺さる。とくにSNS上においてはその刺さり方は尋常じゃない。
参政党は街頭に立ち、「仲間になりませんか」と呼びかける。信仰に近い共感とつながりを、政治の場で再現してみせたのだ。
かつての創価学会も、敗戦後の混乱と貧困の中で、拠り所を求める人々に“希望”を与えた存在だった。「学歴がなくても」「お金がなくても」「救われる」。その思想は、都市周辺に暮らす庶民の背中を押し、公明党という政治の形にもなっていった。だが、池田大作氏がこの世を去り、学会の中も外も、確実に変わってきている。高齢化が進み、若者は「共鳴」より「距離」をとるようになった。Redditでも、「沈黙する学会員」という言葉が話題になっているという。
今や参政党やキリストの幕屋のような、新しい“寄る辺”が、かつての創価学会と同じように、社会に居場所のない人々に寄り添い始めているのかもしれない。
SNS選挙時代に問われる力
一方で既成政党は、早急なシステム更新を迫られている。企業も組織も、システムの寿命は50年と言われる。もしも自民党や公明党、あるいは立憲民主党がその原理を理解しないなら、徳川幕府のように時代に取り残されるだけだ。
今こそ、「生活を守るのは誰か?」「この国の未来に、本気で向き合っているのは誰か?」そんな問いに、長ったらしいマニフェストではなく、SNSの“ひとこと”で応えなければいけない時代に、我々は生きているといえる。
実はこの元凶は円安という“経済の歪み”であり、経済の歪みが政治の歪みを生んだといっても過言ではない。
その歪みの中で、SNSとスマホが感情を増幅させ、フェイクとリアルの境目をあいまいにしているといえるのだ。気づけば、人々は“信じたいもの”しか見ず、“考える”よりも“反応する”ことに慣れてしまった。つまり、「見出し社会」そのものだ。それでも、日本に希望がないとは言わない。むしろ今こそ、冷静に物事を捉え、“本物の言葉”と“見抜く目”が、あらためて問われている時代なのだと思う。
トランプ関税交渉で勝利したのは日米どっちなのか…自動車産業を守り、国民にはさらなる増税圧力がかかることに
そして、最近つくづく思うのは、この国の政治家というのは「森しか見ない」人が多いということだ。
本来は「木を見て森を見よ」と言われるものだが、日本の政界の場合、どうも逆らしい。
派手な国際交渉の成功や、防衛や外交という“絵になる話”ばかりに夢中になっていて、その裏で誰が何を背負わされるのかには興味がない。
目の前の絵図に酔って、足元に落ちた請求書は見て見ぬふり、そんな構図が今回の「トランプ関税交渉」にも透けて見える。
参院選での歴史的な大敗から一夜明け、記者会見場に現れた石破首相は、なぜか得意げだった。「日本の国益を守り抜いた」「米国との関税交渉を15%でまとめた」など、まるで、“勝ち戦”を終えた将軍のような語り口だったが、違和感を感じずにはいられなかった。
その笑みが、いやに下品だったのが気にかかる。政治の世界で“勝利”を語るとき、笑っている者はたいてい、誰かの犠牲の上に立っている。
今回の「勝利」もまさにそうだった。自動車は守った、だが兵器を買わされたという事だ。
たしかに、短期的には日本の自動車業界が重い関税を回避できたのは事実だ。だがその代わり、日本は米国からの防衛装備品の大量購入を事実上の“交換条件”として飲まされた。
この構図は、安倍政権時代からトランプ側が一貫して日本に求めていたことで、まさに米国の「予定通り」である。
そして、そうした輸入の急増は、いずれ我々国民に対する増税圧力としてのしかかってくる。要するに、自動車産業を守るために、国民の生活が“担保”にされたのだ。それだけではない。農産物の大量購入、シェールガスなどのエネルギー調達、対米投資の増加など、あらゆる“買い物リスト”が、日本に突きつけられている。
円安で庶民の生活が苦しくなる中…それでも日銀は円安容認で動かない
そしてトランプ氏が次にやりたいことは、これらの取引をドルベースで“大きく見せる”ことだ。そのためには、日本に円高方向への圧力をかける可能性すら出てくる。「円安のままじゃドル換算で成果が小さく見えるだろ?」という理屈だ。なんとも皮肉な話だ。
現在の日銀は円安容認で動かない。政治も経済界も、為替のコントロールを避け続けている。
そうなれば、頼るのは皮肉にもトランプ大統領、という構図になる。この国の経済を、他国の都合でしか語れない残念な日銀をよそに「日銀の利上げが、1日も早く行われてほしい」そう願う庶民の声は多いが、政策決定の場にその声は届かない。利上げは景気に水を差すからと、“大きな森”の視点だけで語られる。だがその森の陰では、日々の買い物にため息をつく人々がいる。そして、その人々の暮らしを、“誰が守ったのか”は、どの会見でも語られない。
国際交渉の勝利を誇る首相の笑顔の裏で、防衛装備品と農産物と投資の「請求書」が静かに積み上がる。それを後で払うのは、選挙で声を失った庶民であり、レジの前で立ち止まる母親であり、老後の生活に不安を覚える年金生活者だ。「勝ったように見えて、負けている」
そんな国の姿に、私たちはもう慣れすぎてはいないだろうか。
生成AI市場はバブルなのか…実は玉石混交で「石」側のAI企業は少なくない
さて、2023年頃から、やれ生成AIだ、チャットボットだ、LLM(大規模言語モデル)だとほとんどの一般庶民はわけのわからないまま、この業界に携わる人たちだけがまるで「聖杯」を見つけたような騒ぎとなった。確かに、技術としてのAIは革新的だが、問題はいつだって人間の方にある。過剰な期待・安易な理解・手っ取り早い儲け話など―これらが揃った瞬間、バブルというのは“膨らむための準備”を始める。正直、AI業界はまさにその真っただ中にいるといっても過言ではない。
私の友人に米国発のオールフラッシュストレージ企業で、大規模データ・AI時代に対応する高性能データ管理基盤を提供するリーディングカンパニーの経営者がいる。AIが社会に普及する中でのデータインフラ強化を主導している人物だ。
彼によると今やSNS上にはフェイク動画が溢れていて、リアルを探すほうが難しいという。最近のゲームマニアの中では、生成AIで製作されたゲームと、昔ながらの人間がグラフィック・シナリオも・デザイン・設計・実装すべてゼロから組み立てたゲームなのかを見極める遊びが流行っているらしい。AIで作られたゲームを言い当てられることが、ステータスになっているのだという。
それほど、生成AIで製作されたゲームが精巧であるという事なのであろう。最近では生成AIによる実写版の映画が製作されて話題になったが、そうなれば実在する俳優のスケジュール調整をしながら起用するよりも、より役柄にマッチした生成AIが作り出した俳優を使うほうが完璧な人物設定と演技設定をこなすことができる。こうなると舞台やライブは別だが、映画俳優は近い将来いらなくなるかもしれない。
その友人のシンガポールで大手AIコンサルタントをしている知人が日本のAI関連企業と称されるいくつかの上場企業を訪問したそうだが、ほとんどが全くのちんぷんかんぷんで驚愕したといっていた。株式市場を見ると確かに青田買いのごとく、生成AI関連銘柄と考えられているものは、その銘柄も株価がかなり高いところにある。いうなればバブルなのである。
AIに支配される時代がやがてくる
エヌビディアを筆頭とした生成AIというのは、まだまだほんの入口だそうだ。これから様々な分野で実用化され、さらに想像できないほどの膨大な市場になるという。それと同時に、法律や裁判、政治、立法、行政に至るまで全てAIにその判断をゆだね、やがては自動運転や高性能ロボットの登場で人間の労働まで奪われる時代が来ると思う。スマホのようにAIへ依存しすぎる人間の退化が心配になる。
AIは確かに、偉大な道具だ。だが“使う側”が浮かれてしまえば、それは「真理のツール」ではなく「期待の破裂装置」になりうる。本当に怖いのは、巷で言われているようなAIの暴走ではない。人間の妄想が、AIの輪郭を勝手に決めてしまうことだ。いつの時代でもバブルという現象は人々の意識の中に存在している。そしてその崩壊とは、多くの人々が本当の意味で目を覚ました瞬間に起こるものである。
そのことを念頭に置いて 今現在で、怪しいAI企業と本物のAI企業をあげておきたいと思う。最後に現在は怪しい会社であっても実が伴ってくれば本物に成りうるという事だけは書き足しておきたいと思う。