観察者が語る「参政党は“民意”を得てしまったトンデモ集団」なぜ参政党は急速に成長できたのか…本当にやりたいことと、神谷代表の本性とは

7月に実施された参院選で最大のサプライズだったのが、参政党の大躍進だ。「日本人ファースト」を標榜し、多くの有権者の支持を得た。
経済政策においては「消費税を段階的に廃止し、社会保険料の負担を軽減する。国民負担率は上限35%にする」「外国人による土地・不動産購入についても厳格な制限を設ける」などを公約とし、こちらも共感を呼んだのだろう。
しかし、「同党の主張には疑わしいものも多い」と語るのは、ウェブライターで参政党ウォッチャーの黒猫ドラネコ氏だ。
国政政党になる前から観察してきた同氏が、参政党の本性を解説するーー。
みんかぶプレミアム特集「参政党が勝ち、リベラルが負けた理由」第6回。
目次
参政党ウォッチャー「まともに取り扱いすぎ」
まともに取り扱い過ぎだと感じる。先の参議院議員選挙で14議席を獲得して躍進した参政党のことだ。世界の右傾化に重ね「歴史の転換点」とする人までいて、参政党が主流派になるかのような論調まで目にした。ちょっと落ち着けと言いたい。
筆者は2022年の参院選前から参政党を観察していた。何度も街頭演説や政治資金パーティーなどの集会に自腹で参加し、彼らの言動をこの3年間ずっと発信してきた。これまでの流れを誰よりも間近で見てきたライターだと自負している。
その結論を述べる。参政党は単なるトンデモ集団であって、国の舵取りを任せていい人達ではない。極右政党の台頭うんぬんより前にそちらを問題視せねばと考えている。
「ネットで得た真実」が支持層の好むテーマだった
成り立ちなどは端折るが、22年に国政政党になるまでの前後では、反ワクチン、反・コロナ感染対策、標準医療、オーガニック、スピリチュアルなどの真偽不明かつニッチな情報を好んだ方々が党の軸だった。中高年・高齢者メインの支持層が「新聞やテレビを信じるな」「今までが間違っていた」とする「ネットで得た真実」の知識を焚き付けられ語り合う集団に見えた。
これまで数えきれないほどのデマやデタラメを撒き散らしている。「コロナは茶番」「ワクチンは生物兵器」「小麦は戦前にはなかった」「農家は自分が食べる分の作物を分けている」「がんは戦後にできた病気」「精神疾患、発達障害は存在しない」…。そんな政党が今回の参院選で大勝し「民意」を得て政界に影響力を持ってしまったのだ。
実は参政党の勢いも、今年序盤はそれほどでもなかった
比例で742万票以上を獲得したが、実は今年の夏前までは、それほどの人気の兆候は見られなかった。本人達も同じ感想だろう。当初は目標を選挙区と併せて「6議席」と掲げていたからだ。
1月末の目黒区内での集会は、金曜夜の神谷宗幣代表の講演に約100人と寂しい客入りだった。前哨戦の都議選に向けた4月の東京支部のフェス(墨田区内)は、神谷代表、田母神俊雄氏らゲストが登壇したにもかかわらず空席が目立ち、参加者250人程度。5月の新宿区での政治資金パーティーこそ1500人近く集まったが、党主催の大規模イベントとしては過去最少だったのだ。
ではなぜ、急速に参政党は支持を得るようになったのか
それがなぜ急速に支持を集めたのか。