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元モルガン銀行東京支店長が警鐘!国民の財産を溶かして国家財政の帳尻を合わせる「インフレ税」の悪夢…資産を守るために今すぐやるべき“たった1つ”の行動とは

(c) AdobeStock

 自民党総裁選で高市早苗氏が勝利し、「高市政権」誕生の可能性が高まっている。市場は株高・円安でこれを歓迎しているように見えるが、元モルガン銀行東京支店長の藤巻健史氏は、この光景こそ日本経済崩壊の序曲に他ならないと強く警鐘を鳴らす。

 高市氏が掲げる「バラマキと減税」は、英国を大混乱に陥れた「トラスショック」の再来になりかねず、異次元緩和の末に機能不全に陥った日銀にはこの暴走を止める術がないと憂慮する同氏。制御不能なハイパーインフレと「円の紙くず化」という破滅的な未来が現実味を増す中、我々が資産を守るために今すぐ取るべき行動とは何なのか。同氏に詳しく語っていただいた。全3回の第3回。みんかぶプレミアム特集「資本主義は人を幸せにできるのか」第3回。

目次

インフレ時代の「最強の資産ポートフォリオ」とは

 では、この「日本円がただの紙切れ同然になる」という絶望的な未来に対して、我々個人はなすすべなく資産を失うのを見ているしかないのでしょうか。決してそんなことはありません。歴史は、危機を乗り越えるための知恵を我々に教えてくれています。

 私が常に参考にしているのは、1923年のドイツで起こったハイパーインフレの記録です。当時を詳細に描いた名著『ハイパーインフレの悪夢―ドイツ「国家破綻の歴史」は警告する―』を読むと、明暗を分けた人々の行動がはっきりと記されています。

 当時を上手に生き延びた人々には、二つのパターンがありました。一つ目のパターンは、幸運にも資産を他国(特に中立国)に移していた人々です。 外貨や外国資産を持っていた人々は、自国通貨マルクが紙くずになる中で、その資産価値を守り抜きました。

 もう一つのパターンは、農業や漁業など、実物経済に携わっていた人々です。 彼らの生産する食料などの価値は、インフレに応じて毎時間のように上昇しました。給料や年金がインフレに全く追いつかない中で、彼らは生活を維持することができたのです。

過去のハイパーインフレで破滅した人々の“致命的な共通点”

 一方、当時のハイパーインフレで破滅した人々は、主に自国通貨マルクでの預金や年金、給与に頼っていた人々です。 特にサラリーマン、公務員、年金生活者といった中産階級は、昨日まで大金だったはずの貯金が、翌日にはパン一斤も買えない紙切れに変わるという悲劇に見舞われ、その生活基盤を完全に破壊されました。

 この歴史の教訓は、現代の日本に生きる我々にとって極めて重要な意味を持っています。これから日本で起ころうとしていることは、100年前のドイツで起こったことと本質的に同じだからです。

資産を守るために今すぐやるべき“たった1つ”の行動

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この記事の著者
藤巻健史

1950年東京生まれ。一橋大学商学部を卒業後 三井信託銀行に入行 1980年社費留学で米国ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院にてMBAを取得。ロンドン支店 勤務をへて1985年 米銀のモルガン銀行(現JP モルガンチェース銀行)に転職。 同行で資金為替部長、東京支店長兼在日代表を歴任し東京市場屈指のディーラーとして 世界に名を博し JPモルガンの会長から伝説のディーラーと称された。 2000年にモルガン銀行を退社後はジョージソロス氏アドバイザーを務めた他、一橋大学 経済学部、早稲田大学大学院商学研究科にて講座を受け持った。2013年から2019年までは参議院議員。2020年に旭日中綬章を受章。日本金融学会所属。 現在(株)フジマキ・ジャパン代表取締役 。

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