少子化時代に生き残る「ブランド校」の意外な特徴とは “奇跡のカルチャー”で東大合格率アップした進学校の正体

わが子の教育にかけた費用は、本当に「元」が取れるのか――。これまで教育の世界では「品がない」とタブー視されてきた「コスパ」という視点から、今注目の2人が対談。学歴活動家として独自のポジションを築くじゅそうけん氏と、保護者目線で業界の闇に切り込む教育投資ジャーナリストの戦記氏が、中学受験のリアルを徹底的に語り合った。
中学受験にかかる衝撃的な費用の実態から、中学受験からの「賢い撤退」戦略まで、綺麗事なしの本音トークは中学受験を検討するすべての保護者にとって必見だ。短期連載全10回の第6回。(対談日:10月3日)
お二方の書籍が大好評発売中です!
目次
爽やかな高学歴ジェントルマンを量産するスマートな男子校
戦記: 実は、娘が中学受験をする前年に、妻と二人で聖光学院を見に行ったことがあるんです。娘の受験なのに(笑)。でも、どうしてもこの目で見ておきたかった。そして、実際に見て衝撃を受けました。まず、学校がとにかく綺麗。そして、すれ違う生徒たちが、皆ものすごく爽やかなんです。清潔感があって、スマートで。「これはお母さんたちの心を掴むだろうな」と直感しました。
――開成とは対照的だと。
戦記: まったくの真逆です。開成にも見学に行きましたが、正直なところ、綺麗とは言えない(笑)。坂道を登っていくと校舎が見えるのですが、窓からマクドナルドのゴミが投げ捨てられて散乱しているのが肉眼で見えました。良くも悪くも、典型的な男子校という感じです。聖光のスマートさとは、天と地ほどの差がありました。
じゅそうけん: 聖光学院には、スマートでジェントルなイメージがありますよね。OBも、知的なイメージの強い人が多い。
普通の男子校ではありえない“奇跡のカルチャー”で東大合格率アップ
戦記: 学校の設備も素晴らしい。特にカフェが充実していて、夜遅くまで勉強する生徒のために夕食も提供されるそうです。「ザビエルタワー」と呼ばれる自習室では、多くの生徒が黙々と勉強している。学校全体に、自然と自習するカルチャーが根付いているんです。
じゅそうけん: 男子校でそれが成立しているのがすごいですよね。普通は無法地帯になりがちですから。麻布なんて本当にひどいですよ(笑)。
戦記: それに聞くところによると、聖光学院のカフェテリアには無料のウォーターサーバーがあって、ただの水だけでなく、炭酸水まで出てくるらしいです。
じゅそうけん: それくらい生徒の学習環境を最適化しようという意識が高い。本当に面白い経営をしている学校だと思います。
少子化時代に生き残る「ブランド校」の意外な特徴
――じゅそうけんさんが、個人的に「推し」ている中高一貫校は他にありますか?
じゅそうけん: そうですね、豊島岡女子学園はやはり素晴らしい学校だと思います。ここは、改革のスピードがとにかく速いんです。例えば、易きに流れがちな「私文専願」を認めないという厳しい姿勢を貫いていたり、数年前には高校からの募集を停止して、完全中高一貫校に移行したり。高校募集の停止は、学校経営の観点から見れば、単純に売り上げが大幅に減少するはずなのに、あえてその選択をする。そういったドラスティックな改革を躊躇なく実行できる点が、この学校の強みだと思います。
戦記: 経営判断として、改革が早い組織が勝つ、というのはビジネスの世界でも同じです。豊島岡は、優秀な生徒を集め、そして育てるための戦略が非常に巧みで、その実行速度が他校を圧倒しているように見えます。