風俗業界の値崩れが加速「スーパーの方が給料が確実」の声…それでもなぜ彼女はそこで働かなくてはいけないのか

新型コロナウイルスの感染拡大により、生活苦に陥った女性は多い。よりよい稼ぎを求め、風俗業界に飛び込んだ女性たちもいる。ただし“非接触”を求めるコロナは、身体の“接触”を伴う風俗業界にも暗い陰を落とした。コロナ禍で風俗業界に飛び込んだ女性たちのリアルとは――。コロナ禍を生きる女性の姿をフリーランスルポライターの樋田敦子氏が描き出す、全3回中の2回目。
※本稿は樋田敦子著『コロナと女性の貧困 2020-2022 サバイブする彼女たちの声を聞いた』から抜粋・編集したものです。
※この本は2020~22年にかけて執筆されたものであり、記事中の状況は当時のものです。
第1回:宿なし少女に「援助するよ」と甘い声…トー横キッズに迫るずるい大人「家出をした子どもたちが向かう場所」
風俗は誰もが稼げる仕事ではない
新型コロナウイルスの感染拡大に影響を受けた中小企業や個人事業主向けの支援事業について、性風俗を対象外とするのは「職業差別」だとして、無店舗型デリバリーヘルス(デリヘル)を経営する女性が、「セックスワーカーにも給付金を」と国を提訴した。
女性は2020年6月、同じ性風俗関連業者とともに中小企業庁に出向いて陳情したものの、担当者の回答は、「これまでも国の補助制度から対象外としてきた」という紋切り型のものだった。国会でも同様の押し問答が繰り返されるばかりで、司法の場に判断を委ねることになった。