年金未払いの末路…資産2600万円、手取り年収640万円の54歳独身女性「老後で贅沢するなら90歳まで働く必要」

新型コロナの諸規制がほぼ撤廃され、海外への行き来が自由になりました。仕事の関係で海外に赴任する人、あるいは海外から帰国する人もいるはずです。今回は商社に勤務していて、若い頃から海外在住の鳥海さん(仮名)の帰国に関する相談をご紹介しましょう。(「株投資完全ガイド」第5回)
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目次
海外居住、貯金2600万円、退職金なし「60歳で帰国後はどのぐらいの収入が必要?」
現在54歳の鳥海さん(仮名)は、60歳で日本に帰国することを考えています。帰国後は実家がある地域にアパートを借りて1人暮らしをする予定ですが、日本での国民年金の未払い期間があるため、公的年金の受給額は月額4万5000円程度の予定です。公的年金がほぼ期待できないと考えた場合、老後を過ごすには帰国後にどの程度の収入があったほうが良いでしょうか、というのが鳥海さんからのご相談になります。以下が家計収支の試算を行いながら、相談にお答えした内容になります。
鳥海さんは現在54歳、手取り収入は日本円で640万円、月間の支出は35万円、年間420万円ですから年間220万円の黒字になります。黒字額の220万円を全額貯蓄に回すことができれば、帰国を考えている60歳までの6年間で1320万円を貯めることができます。鳥海さんには退職金がありませんので、現在保有している金融資産額2600万円に6年間で上乗せできる貯蓄1320万円を加えると、60歳時点では3920万円になります。帰国に際しての費用及び日本で新たに住む家の費用を200万円とすれば、日本に帰国する予定の60歳時点では3720万円の金融資産が残ることになります。
鳥海さんは、日本に帰国されてからは月額20万円で生活する予定である一方、帰国後は、本業のほかに語学力を生かした副業を行って、収入を増やすことを視野に入れています。さらにボランティアやジョギングなど、人生を楽しむ時間を確保したいと相談時には迷われてもいました。月額20万円の生活費に、鳥海さんが人生を楽しむ費用を含んでいたのかは、筆者の記憶が曖昧で定かではありませんが、高齢単身世帯の月額平均支出額は概ね16万円程度です。鳥海さんは統計値よりもやや年齢が若いことから参考にならないかもしれませんが、公的年金の受給額が少ないので、支出が多くなるほど、多額の収入を得る必要があるのも事実です。