竹中平蔵「厚生年金は廃止するべきだ」日本人は90歳まで働くことになる…私が両親を看取った経験から感じたアンフェアな介護制度

自分の父親・母親を見送った経験からいうと、人間が穏やかに一生を終えていくのも、ものすごい手間がかかりますーー。経済学者の竹中平蔵氏はそう振り返る。竹中氏といえば「日本人は90歳まで働くことになる」という持論で議論を巻き起こしたが、その一方で日本の介護制度や年金制度に対しても問題意識を持っている。みんかぶプレミアム特集「逃げの介護」第1回は、竹中氏がサステナブルな制度を提唱するーー。
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介護離職は日本経済において、大きなロスである
人間が教育をうけて一人前になるには20年ほどの大変な手間暇がかかります。そして、自分の父親・母親を見送った経験からいうと、人間が穏やかに一生を終えていくのも、ものすごい手間がかかります。お金もかかりますし、時間もかかります。
今、私が懸念しているのは、これから日本で介護難民が増えることです。今の日本社会では個人ベースでも社会ベースでも介護に対して十分な備えができていません。
まず社会ベースでできていないというのは、介護施設が足りていません。とくに都市部では高齢者人口が急増しており、若い世代の介護者も不足しています。そのため、その分、要介護者の子供たちに負担がかかります。大会社の管理職だって介護のために仕事を辞めなくてはいけない人がたくさんいます。それはその人の人生にとっても辛いことであると同時に、日本経済においても大きなロスになります。
日本人は長く生きた時の備えをこれまでしてこなかった
個人的に備えができていないというのは、その親自身が自分に介護が必要になるかもしれないのに、そうなった時のためにお金を蓄えていないということです。日本人はこれまで生命保険など死んだときのための備えをしてきましたが、長く生きたときの備えは年金しかありませんでした。