岸田内閣「施政方針演説」原案入手!「賃上げ推進」の具体的中身がひどいし、不公平…誰もが忘れていた「新しい資本主義」がまた登場【スクープ】

岸田文雄首相が1月30日に行う予定の「第二百十三回国会における岸田内閣総理大臣施政方針演説」の原案を入手した。作家の小倉健一氏が全3回に渡ってその中身を解剖する。第1回は「賃上げ推進」について。小倉氏は「消費者の実質賃金はまた下がることになる」と指摘するーー。
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誰もが忘れていた「新しい資本主義」がここで登場
岸田文雄首相が1月30日に行う予定の「第二百十三回国会における岸田内閣総理大臣施政方針演説」の原案を独自に入手した。
自民党派閥の裏金問題などで岸田内閣が低支持率にあえぐ中、1月1日には能登半島地震が発災し、遅々として進まない政治改革、被災地の復興に国民の不満は爆発寸前だ。そんな今、国民の関心は、首相がどのような針路を示すのかにある。そして、同原案にはそれが記されている。本稿は経済政策に絞って、岸田政権の方針を確認していこう。
冒頭、同原案では、能登半島地震の復興について詳しく述べてつつ、<震災の現場だけではありません。日本経済の色々な場面で「新たな力」が動き出しています。政権を担って二年四か月。三十年間続いたコストカット経済から脱却し、社会課題解決に新たな官民連準で取り組むことで、賃上げと投資がけん引する「新しい資本主義」を実現し、日本を大きく動かしていきます>として、施政方針演説の経済政策の主要部分は、「賃上げ」一色となった。
誰もが忘れていた「新しい資本主義」がここで登場しているが、政府関係者も含め、「新しい資本主義」が何を指すかが、岸田首相の説明が、毎回違うため無意味な言葉になってしまったので、ここはスルーしておいた方が良さそうだ。
2022年4月から実質賃金はずっと下がりっぱなし
この原案の示す通り、岸田政権は2021年10月に発足したが、2022年4月から実質賃金はずっと下がりっぱなしだ。実質賃金の「2000〜22年の平均変動率」を国際比較すると、主要7カ国(G7、日米独英仏加伊)で横ばい圏にとどまるのは日本とイタリアのみだ。実質賃金がいくら上がっても、実態は減り続けているのだから、国民は、岸田政権下で生活水準が明らかに悪くなっているということになる。