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N党立花氏のようなデマゴーグが政局にどう影響を与えるか…東浩紀「メディアがPV主義に走っても、その先はジリ貧」SNSはついにマスコミを超えたのか

 11月17日に投開票が行われた兵庫県知事選では、SNSの影響力が注目された。一部では、「マスコミの影響力を上回った」との声もある。

 ここ最近の政局についてのメディアの影響力や問題点、今後の課題などについて批評家・作家の東浩紀氏に分析していただいたーー。みんかぶプレミアム特集「オールドメディア vs SNS」第2回。

目次

ついにSNSがマスメディアと同等の力を持つようになった

ーー今回の兵庫県知事選で、SNSとマスメディアの関係がついに逆転したとも言われていますが、東さんはどのようにみていますか。

東浩紀(以下、同)

 力関係が逆転したとまでは言えないものの、SNSがマスメディアにとって無視できない存在となってきているのは事実だと思います。

 これまではテレビや新聞のオールドメディアが流れを作り、SNSはそれを補完する関係でしたが、兵庫県知事選でわかったのは、今ではSNSの方でも独自に流れを作れることです。

 マスメディアも依然として影響力を持っていますが、SNSやネットメディアも有権者への影響力という点ではほぼ同等となったのではないでしょうか。

 兵庫県知事選だけではありません。東京都知事選での石丸伸二さんや、東京15区衆院補選でも、SNSの影響が非常に大きかったですよね。

叩かれれば叩かれるほど注目される「トリックスター」にどう立ち向かうか

ーー兵庫県知事選では、立花孝志さんの影響力があらためて注目されました。

 立花孝志さんの政治的な復活には驚きました。瞬間的にではありますが、台風の目のようになっていましたから。

 立花さんと政治的に相容れない思想をもった個人や団体が立花さんを執拗に叩いていますが、逆効果になっています。叩かれれば叩かれるほど、さらに立花さんが注目を浴びている状況がありますから。

 彼のようなトリックスターへの対応はこれからの日本政治の大きな課題となってくると思います。実際、立花さんの手法は今回成功モデルとなってしまった。立花さんのような人が今後もどんどん出てくるかもしれません。

ネットメディアにもより大きな責任が求められる時代に

ーーネットメディアとしては、やはり注目を浴びている人の記事をどんどん出していかざるを得ない、というロジックがあります。そこで立花さんや石丸さんなど、ネット上で注目を浴びている人が、さらに注目を集めていく、という現象が起きていますよね。

 ネットメディアにも自制が求められます。PV(ページビュー)数が上がるからといって、特定の人物ばかりを露出させる、というのはやはり中立的な報道姿勢ではありませんよね。

 ReHacQ(リハック)やNewsPicks(ニューズピックス)などのネットメディアにも、これまで以上に大きな倫理的責任が求められてくるでしょう。今まではある種、「ネットメディアだから」ということで免責されてきましたが、そうはいかなくなります。ユーザーからもより厳しい視点でみられるようになるはずです。今までのようにオールドメディアを叩いているだけではいられなくなります。

オールドメディアの最大の問題点

ーーこれまでであれば、オールドメディアの責任ということばかりに注目が集まっていましたが、ネットメディアにも同様に責任が求められてくるということですね。

 とはいえ、オールドメディアにもやはり問題はあります。

 一番の問題は、コメンテーターの顔ぶれや意見の画一性です。テレビや新聞に同じ人ばかりが出て、みんなで同じことを言っている。長い歴史があるぶん、「業界」の意識が強くそうした画一性がさらに強化されてきてしまっている状況があります。

 テレビや新聞はそうした「フィルター」を自ら壊していかなければなりません。オールドメディアが画一的な意見ばかりだから、結果として有権者はネットメディアに多様な意見を求めにいっている、ということだと思います。

SNSは熱狂を生む装置。政治参加も良いがまずは冷静になれ

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この記事の著者
東浩紀

1971年東京生まれ。批評家・作家。東京大学大学院博士課程修了。博士(学術)。株式会社ゲンロン創業者。 著書に『存在論的、郵便的』(第21回サントリー学芸賞)、『動物化するポストモダン』、『クォンタム・ファミリーズ』(第23回三島由紀夫賞)、『一般意志2.0』、『弱いつながり』(紀伊國屋じんぶん大賞2015)、『観光客の哲学』(第71回毎日出版文化賞)、『ゲンロン戦記』、『訂正可能性の哲学』、『訂正する力』など。

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