元手65万円から資産150億円!カリスマ個人投資家・片山晃が2025年注目する2銘柄・セクター「2024年は日本株にとって大きな転機となる一年だった」

本稿で紹介している個別銘柄:ニッパツ(5991)、サイバーエージェント(4751)
元手65万円から資産150億円以上を築いた元祖“カリスマ個人投資家”の片山晃氏。個人投資家になる前は「ネトゲ廃人」とも呼ばれるほどネットゲームにハマっていたという異色の経歴の持ち主でもある。そんな同氏に、2024年相場の振り返りと、2025年の展望をお聞かせいただいたーー。みんかぶプレミアム特集「スーパー投資家の教え」7回。
目次
2024年は日本株にとって大きな転機となる一年だった
2024年は日本株にとって大きな転機となる一年であったのではないかと思います。
まず、日経平均が1989年12月に付けた38915円の過去最高値を更新しました。相場の世界において、過去の高値をブレイクすることには大きな意味があります。その後、急上昇の反動で押す局面もありながら12月時点でも39000円台を保っており、年間を通してこの新高値の水準を維持したことの意味や意義をチャートを見ながら改めて考え直してみたくなります。
その原動力となったのは、 年間17兆円にも及ぶ規模に膨らんだ自社株買い
その原動力となったのは、年間17兆円にも及ぶ規模に膨らんだ自社株買いと、新NISAによって生まれた新しい投資家層の買いです。2018年には6兆円規模だった自社株買いは6年で3倍に急増しました。かねて日本株の需給を決めると言われてきた外国人投資家の、過去10年間での年間最大売り越し額が6兆円だったことを考えれば、年間17兆円の自社株買いが与える需給安定効果には絶大なものがあるはずです。
もっとも、現状ではその多くが持ち合いの解消であり、昨年に関しては政策保有株の削減売りと打ち消し合っている部分が多くあることも事実です。しかし、これが2年目、3年目となっていけば事業法人による純粋な買い越し額は更に積み上がると予想され、EPSの向上および需給引き締めの累積的な効果にますます期待できるのではないかと考えています。
新NISA効果は2025年も続く…投資が国民により浸透していく
もう一つの新NISA効果も昨年限りのものではないでしょう。YouTubeの経済系チャンネルにおける投資関連コンテンツの再生数は、今でもその他のコンテンツに比べて頭2つくらい抜けた数字を出しています。今回はバブルではなく、多くの一般の人々の生活に投資が本当に根づきつつあるのだということを様々な機会で実感します。
私が20年前に株を始めた頃は、個人の株屋なんて異端者扱いされるようなところがあったものですが、それがここまで来たというのは大変喜ばしいことで、この流れが続いていくことには個人的にも大いに期待をかけています。
2025年の投資環境を左右する最大の要素は、日本の政治環境
このように企業と家計は大きく変わったのが2024年ですが、ここからもう一段の高値を目指していくにはもう一つの要素が噛み合うことが不可欠でしょう。それが政策です。
2025年の最大の焦点は日本の政治環境ではないかと考えます。ここに関しては私は素人ですし、確たる持論があるわけではないので詳細にお話することは控えます。ただ、米国株が夏からこれだけ上昇し、為替も再び円安方向に来ているのに日本株が依然としてレンジ内に留まっている要因は、もはやそこ以外には考えにくいのではないでしょうか。夏の選挙に向けてどのような動きが出てくるか、今まで以上に政治関連の動きには注目していく必要がありそうです。
1年後の予測なんかにはほとんど意味はなく、実際には刻一刻と変わっていく情勢に対応しながら読みを変えていくのが私達の商売であるという前提を置いた上で、現時点では2025年は内需株に期待を寄せる年になると見ています。
家計はこれ以上ないほど苦しんでおり、国民の不満や怒りはかつてないほど高まっている
昨年の今頃は、ドル円が151円から142円まで下落したところで、ついに円安は終わった、ここからは円高メリットだと大多数が予測していた記憶がありますが、それは無惨にも裏切られ、162円までの円安によって内需は更に痛めつけられることになりました。長引く外部環境の悪化によってもともと主要先進国中で首位だった日本のエンゲル係数の上昇はとどまることを知らず、家計はこれ以上ないほど苦しんでおり、国民の不満や怒りはかつてないほど高まっていることを感じています。
これに対応する形で減税や経済対策が目下議論されており、足元の実質賃金の伸び率も過去2年の深いマイナスからは改善してプラス圏への浮上が目前というところまで来ています。日銀の金融政策には不確実性が残されているものの、為替も昨年ほどの急速な円安は想定されず、原油の需給は大幅な悪化が見込まれているので、外部環境の厳しさは昨年の夏場が流石にピークだったと見ていいのではないかと思います。
そういうわけで、これまで散々に抑えつけられてきた日本の内需も、いくらなんでもこれ以上悪くなりようがないところまで来たのではないかというのが私の見立てです。また、外需の大型株でチャートが悪くなっているものが目立つようになっていることも判断材料となります。注目セクターをいくつかピックアップしました。
片山晃が2025年注目する2つのセクター
・空運
円高原油安メリットと言えば一番に思い浮かぶのはやはり空運です。インバウンドの好調で国際線は伸びていますが、日本からの出国者数はコロナ前の7割に満たない低空飛行が続いており、海外旅行は完全に高嶺の花となってしまった感があります。しかし、生活の余裕さえ取り戻せればまた行きたいと思っている人は多いはずで、最後に残されたペントアップデマンドとしての海外旅行に注目しています。
・ホテル
こちらもインバウンドが絶好調で、この秋から単価上昇が一段と加速しているデータがあります。建設費の高騰と人手不足でホテルのキャパシティ増加は過去の予測に比べて緩慢になると見られており、予想以上に良好な需給が継続する可能性が出てきています。インフレやインバウンドに対応してダイナミックプライシングにより常に価格転嫁が行われるところが魅力的で、新規物件の供給が限られる中、既存施設の生み出すキャッシュフローの増大にはもっと着目されてよいのではないかと思います。
その他の消費関連にも幅広く機会はあると見ていますが、人手不足と人件費の高騰は継続的な課題ですので、選好順としてはメーカー>小売と考えています。月次情報が良くてもコスト負けして利益が思ったほど出ていないというケースも出てきていますので、そのあたりにも気を使いながら各社の決算動向を見て投資していくことになるでしょう。
片山晃が2025年注目する2つの国内株
最後に、個別で面白いと思っている銘柄も簡単に紹介します。
売上の大半は自動車関連ですが、全体の13%でしかないハードディスク向けサスペンションが営業利益の50%を稼ぎ出しており、その他の部門も合わせれば営業利益の70%以上が自動車以外からの収益で構成されています。データセンター向けのニアラインと呼ばれるハードディスクの需要は急増しており、当社は重要部品であるサスペンションで50%以上のシェアを握ります。この2Q決算ではサスペンションの営業利益が前年同期比+836%と大幅に伸びましたが、来春には世界3位だったメーカーの事業撤退が決定しており、更にシェアが高まることが予想されます。
ネット広告とゲームの会社というイメージが強い同社ですが、この1年でIPカンパニーを目指す方向性が明確に打ち出されており、関連企業を相次いで取り込んでいます。ABEMAという国内屈指のメディアパワーを有しており、ウマ娘に続くヒット作を生み出すことができるかが注目されます。