玉木雄一郎「税金を払う側の立場になって政治をする」…参院選、国民民主はどんな候補者を擁立していくのか「東京には党の象徴となる人を」

かつて、政策一本やりでここまで議席を増やした国政政党はあっただろうか。「103万円の壁」の引き上げを掲げ、昨年の衆院選で大勝した国民民主党の玉木雄一郎氏に、なぜ103万円の壁が放置され続けてきたのか聞いた。玉木雄一郎氏独占インタビュー全6回の第1回。
目次
なぜ「103万円の壁」がずっと放置されてきたのか
ーー現在注目されている「103万円の壁」の問題についてお伺いします。この問題が長年放置されてきたのは、なぜなのでしょうか?
玉木雄一郎(以下、同)
一言で言えば、「デフレ」が原因です。デフレの中で日本人は30年間も給料が上がらず、物価も変わらない状況に慣れてしまい、思考停止に陥ってしまいました。
そこで、私たちは2020年9月の結党時に、まず「給料が上がる経済を取り戻そう」ということを一丁目一番地に掲げました。この主張は現在も掲げています。
その後、ようやく民間の努力によって給料が上がり始めましたが、それでも「手取りが増えない」と感じる人が多いのです。なぜ実感が伴わなかったのかというと、税金や社会保険料の負担が増えたことで、結果的に手元に残るお金が少なくなっているからです。
インフレには増税と同じ効果がある
この理由の一つに挙げられるのが「インフレ」です。実は、インフレーション自体が「インフレーションタックス」という形で増税効果を持っているのです。
例えば、1000円の商品がある場合、消費税率が10%なら100円の税金がかかりますよね。それが、資材価格の上昇によって同じ商品が2000円になった場合、消費税率は同じ10%でも200円の税金がかかります。
つまり、インフレによって物価が上がると、税率を変更しなくても税収が増える仕組みになっているのです。
さらに、サラリーマンの場合、累進課税が適用されるため、賃上げで所得が増えると、税率も段階的に5%、10%、20%と上がります。その結果、経済成長率を上回るペースで税収が増える仕組みになっています。
こうした仕組みは、国民の立場からすれば「豊かになるどころか税負担が重くなるだけではないか」と感じざるを得ません。そのため、現在、この仕組みを見直す必要がある状況に、30年ぶりに直面しているのです。
多くの政治家が税金を「取る」ことばかり考えている
では、なぜこの問題が30年もの間放置され続けていたのかというと、先ほども述べたように、国民が思考停止に陥っていたことが一因です。また、長期政権が続くことで、政治の側が「税金を取って配る」という考え方に偏りがちになっていたことも挙げられます。
そこで私たちは、「税金を取って配る側の視点ではなく、払う側の立場に立ち返って、もう一度考え直してみませんか」という提案を行いました。これが、前回の衆議院選挙で掲げた主張のひとつです。
なぜ衆院選で21議席獲得を目指していたのか
ーーその結果、前回の衆議院選挙では議席を大きく伸ばしましたね。
そうですね。長年、国民民主党は鳴かず飛ばずで、「売れない地下アイドル」と揶揄されることもありました。しかし、皆様のおかげで前回の選挙では良い結果を出すことができました。私たち自身は「実力派地下アイドル」だと思っていましたけど(笑)。