今日の米高騰を14年前から起きると知ってて放置してきた石破首相と農水省「悪夢の民主党政権が蘇る」

備蓄米がついに放出される。スーパーによっては税込みで5キロ5000円を超すような状況にもなっている。日本人の食事に欠かせない米の大騒動になぜ政府はここまで放置したのか。経済誌プレジデントの元編集長で作家の小倉健一氏が解説するーー。
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石破首相が農水大臣時代に考えてたこと
お米が足りないせいで、お米の値段が上がり続けており、農水省の「減反政策」に批判が集まっている。
過去に、石破茂首相も、麻生太郎政権の農林水産大臣として、減反をやめるべく動いていたことがある。以下は、2009年(平成21年)9月15日付で、当時、農水大臣だった石破首相が『米政策の第2次シミュレーション結果と米政策改革の方向』と題して発出されたレポートである。
「我が国が食料自給力を向上し、食料の安定供給を確保していくためには、私は、現在の農政、とりわけその根幹である米政策を見直し、これら生産調整をめぐる問題を払拭しなければならない」
「私は、このような(農家の自主性や経営の自由度が高まるように、 生産調整の仕組みを緩和する方向で見直す)政策こそが、米政策のあるべき姿であると考えている」
首相就任を前後して、すべての持論を放棄した石破首相が、今、どんな考えにあるのかまったくわからないが、14年も前から危機を知っていて何もしてこなかったのが自民党であり農水省である。
日本は社会主義国会なのか
当時から減反政策の代替案として出ていたのが「農業戸別所得補償制度」である。自由に農家にお米をつくらせる一方で、農家に一定のお金を渡すという制度だ。考え方としては、ベーシックインカムのようなものであろう。
メディアに登場する有識者は、右から左まで一様に、減反政策を改めて農業戸別所得補償制度に進めばよいと言っている。一見して、社会主義政策のような制度を日本に導入して、本当に大丈夫なのだろうか。
まずは減反政策だ。この政策の破綻は、誰の目にも明らかになりつつある。日本国内で米の品薄や価格高騰が起こっているのは、自民党と農水省が続けてきた減退政策のせいだ。昨年の収穫量は、全体として凶作と呼べる状況ではないのに、総務省が2月21日に発表した1月の全国消費者物価指数(2020年=100)は、生鮮食品を除く総合が109・8となり、前年同月比で3・2%上昇した。
コメ類は7割以上の値上がりを記録し、過去最大の上昇幅
食品価格の高騰が影響し、特にコメ類は7割以上の値上がりを記録し、過去最大の上昇幅となった。
減反政策は、米の生産量を意図的に抑え、市場価格を維持するための政策である。農家がコメ以外の作物へ転作することで補助金を受け取る仕組みになっており、日本の水田の約4割が休耕または転作に回されている。1970年代には1445万トンだった生産量は現在700万トン弱まで減少。わずかな需要の変動で、価格が高騰してしまう脆弱な供給体制になってしまった。政府は2018年に減反政策を廃止したと発表したが、実際には「生産数量目標」を撤廃しただけであり、減反政策そのものは維持されている。生産を減らした農家に補助金を支給する仕組みは変わっていない。
減反政策をやめて、お米をどんどんつくっておき、平時は海外へ、緊急時は国内へとお米を供給することを目的にすべきなのに、自民党と農水省は内向きの理屈を変えていない。
日本の米を国の重要な輸出産業として位置付けるべきである。例えば、トルコはパスタ産業を国策として推進し、大規模な生産体制を整えることで世界市場での競争力を高めている。日本の米も輸出を重視し、政府は日本食を世界に広めることで、市場競争力を強化する必要がある。
海外には、日本と同じ短粒種のお米が生産されているが、実際のところ、日本産より硬くて美味しくないし、日本産米同様の食感にするには調理に手間がかかる。政府がこれまで以上に日本食を広めれば、世界中の人が美味しい寿司やおにぎりを食べたくなるのであるから、高品質の日本産米の輸出も盛んになるだろう。