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資産数億円、元三井物産の長期配当株投資家が語る!「優等生な日本企業」…なぜ?「100円の配当金GETで7割成功」「優待は重視しない」

紫宝

 安定配当株をコツコツ積み増し、資産数億円を築いた元三井物産の紫宝氏。そんな紫宝氏は、投資初心者に向けて「100円の配当金をもらえたら、7割方は成功したようなもの」とエールを送る。紫宝氏の真意と、配当の考え方について伺った。

目次

「配当性向」と「配当利回り」の正しい理解

 私は長期配当株投資家ですので、配当利回りと配当性向については非常に重視しています。みなさん何気なく「配当利回り」「配当性向」といった言葉を使っていますが、改めて配当利回り、配当性向とは何なのかを聞かれたとき、ちゃんと答えられるでしょうか。

 まず、「配当利回り」は株価に対する年間配当金の割合を示すものです。「1株当たり年間配当金÷株価×100」で表され、年間配当金が10円、現在株価が1000円であれば、配当利回りは1.0%となります。簡単に言うと、「会社が株を持っている人にあげるお金(配当)が、株の値段に比べてどれくらいかをパーセントで表したもの」です。

 年間配当金が減額されないかぎり、株価が下落すれば配当利回りは上昇しますが、たとえば今の自動車関連銘柄のように株価が下がり続けて配当利回りが高くなっていれば「絶対に買うべき」というような単純なことではありません。過去の業績推移や減配・無配の実績、セクター全体を含めた今後の長期的な見通し、現在のバリュエーションなどを考慮した上で、今の株価・利回りが本当に割安なのかどうかを慎重に見極めていく必要があります。今後の業績や配当の見通し次第では、「これだけ株価が急落して利回りは上がっているのに、長期で見たら結局割高」という可能性もあるのです。それは避けねばなりません。

 新型コロナウイルス感染症が流行していた2020年3月時点では、株価暴落のため非常に高利回りの企業が続出しました。たとえば三井住友フィナンシャルグループの配当利回りは7.24%、三菱UFJフィナンシャルグループは6.2%でしたが、現在は両行とも3%程です。ちなみに三菱商事は利回り5.76%(現在3.9%)で、三井物産は利回り5.32%(現在3.6%)でした。

 いまは総合商社の株価が全体的に下落している最中ですので、まだ利回りはましになっていますが、昨年5月頃の低利回りの時期から見たら信じられないくらいの高利回りですよね。当たり前と言えば当たり前なのですが、株価の変動でこれだけ利回りが変わるのです。

 コロナショック当時、株価は3か月程下落し続けましたが、いつコロナ禍が終わるのかの見通しはまったく立っておらず、企業業績に与える長期的ダメージがどれほどのものになるかもわからない状態でした。私たちが今いる場所から俯瞰すれば、「2020年4月には株価も下げ止まって上昇に転じている銘柄が多いよね」と容易に理解することができますが、渦中ではそうはいきません。実際のところ、それだけ高利回りだったにもかかわらず買い向かえなかった投資家が多かったと記憶しています。

 私個人としては、いまもそうですが、長期視野で検討する際に重視しているPBR(株価純資産倍率)などを参考にしながら、「短中期的にはそれなりのダメージを受けるかもしれないし、減配などもあるかもしれないが、最悪期さえ脱すればかならず業績は回復し株価も本来あるべき水準に戻っていくはず」との思いで、事前に立てておいた暴落時用の資金計画に沿ってバランスよく買い増していきました。言うのは簡単ですが、いざという時に実行するには、平時からの心構えやシミュレーションと綿密な資金計画が必須です。

 一方「配当性向」は、企業の利益のうち、どれくらいが配当に回されるかを示すものです。「1株当たり配当金÷EPS(1株当たり純利益)×100」で表され、年間配当金が10円、EPSが50円であれば配当性向は20%になります。こちらも簡単に説明すると、「会社が稼いだお金のうち、どれくらいを株を持っている人にあげるか(配当)をパーセントで表したもの」です。配当性向が高ければ高いほど、利益を株主還元に回していることになります。私たち株主に対する企業の感謝の気持ちの表れでもありますから、“無理さえしていなければ”素直に嬉しいですよね。

 一般的には、配当性向30~40%くらいまでであれば、還元余力にまだゆとりがある状態だと言えると思います(※まだまだ積極的な投資を必要とする成長企業か、そうでない成熟企業かなどでも適正水準は変わりますし業種にもよります)。当然ですが、EPSが安定していない企業ですと配当金を減らさないかぎりは配当性向も高くなりすぎて最悪タコ足配当(配当性向100%超え)となってしまう場合もあります。ですから、やはり長期的にEPSが安定成長している企業への投資が望ましいです。

 少し話が長くなってしまいましたが、つまり、配当利回りは「株価と配当金」との関係を、配当性向は「利益と配当金」との関係を示します。配当性向は企業が決めることができますが、配当利回りは企業の株価に左右されるので、企業が自由に決められるわけではありません。

注目すべき「配当性向が低くて利回りが高い」銘柄

 投資する企業を検討するときには、配当利回りと配当性向の関係性やバランスに注目してみるといいでしょう。

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この記事の著者
紫宝

米国大学卒業、三井物産出身のダイヤモンドメンタル投資家。2001年に株式投資を開始。現在は「安定配当大型株」を中心に個別株7割(約200銘柄)、インデックス3割の割合で投資。他にもFX、隕石トレード(兼コレクター)、書籍CDせどり、不動産(宅地建物取引士)など、取り扱う範囲は広い。

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