NHK党・立花孝志「もう街頭に立てない」頭部の傷痕公開「攻撃は2回」…経済アナリスト「米国よりも日本の政治家の方が危険」

安倍晋三元首相が選挙演説中に銃撃され、死亡した事件から3年あまり。殺人などの罪で起訴された山上徹也被告の初公判はいまだ日程が決まらず、衆人が見守る中で起きた重大事件にもかかわらず“真相”は見えないままだ。2年前には岸田文雄前首相の演説会場で爆発物が投げ込まれる事件が発生し、今年3月にも政治団体「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首が東京・霞が関の路上で男に襲われ、負傷した。立花氏は自身のユーチューブチャンネルで攻撃が2回もあったことを明かした上で、今後スタッフや聴衆にまで危害が及ぶ可能性があることから「ぼくはもうこの先、ファンの方々と握手することできないですよ。街頭に立つことすらできないんですよ」と語った。なぜ政治家に対する襲撃が相次ぎ、事件を防げないのか。経済アナリストの佐藤健太氏が解説するーー。
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要人であれ、普通の政治家であれ、あまりに日本の政治家は「無防備」
「あちらのロータリーの端に見える場所から男が飛び出し、いきなり安倍元首相を襲ったんですよ」。3月半ば、筆者は奈良市の近鉄大和西大寺駅北側を訪ねた。まず驚いたのは、元首相襲撃事件の「現場」が何事もなかったかのように変わっていることだ。付近の有名コーヒーチェーン店で地元住民を聞くと、事件後の再整備に伴い車道が舗装されたという。「献花はどこに?」と尋ねると、交差点の歩道にある花壇に案内された。付近に住む40代男性は「なぜ安倍氏が襲われ、命を失わなければならなかったのか。なぜ奈良だったのか。何にもわからないまま時間だけが過ぎてきた」と振り返る。元首相の慰霊の場としては、あまりに寂しい“現場”と言える。
事件当時、あらゆる専門家やコメンテーターらが銃撃を防げなかったことの理由を分析し、SPと奈良県警の連携や経験の不十分さ、現場となったロータリーにおける警備の難しさといった持論を披露した。その多くは理解できるものなのかもしれないが、筆者は「決定的」な部分が欠けているように感じてきた。それは誤解を恐れずに言えば、警備対象となる要人であれ、普通の政治家であれ、あまりに日本の政治家たちは「無防備」のように映ることだ。
たしかに安倍元首相の選挙演説中、周囲にはSPや地元警察、自民党関係者を含めて多くの「目」があった。ただ、その大半は人気が高かった元首相に向けられ、よもや現場に「襲撃犯」が現われているとは思っていない。