元農水事務次官「昨夏に備蓄米放出するべくだった」…石破総理が“今さら”決意「強力な物価高対策の検討項目にコメ価格抑制」

コメの価格がいまだ下がらない。政府は備蓄米放出を決定し、3月下旬から店頭に並ぶとの見通しを示していたが、直近のコメ価格は5キロあたり4172円と統計開始以来で最高値となっている。慌てた石破茂首相は「強力な物価高対策」を打ち出すと言及したものの期待薄だ。経済アナリストの佐藤健太氏は「政府対応はあまりに遅く、規模もショボい。国民の感覚とはかけ離れている」と指弾する。一体、「令和のコメ騒動」はいつになれば解消されるのかーー。
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1日でも早く価格が下降してほしい
「流通で停滞したものが出てくることを期待したい」。全国農業協同組合連合会(JA全農)は3月25日の記者会見で流通円滑化に向けて期待を示した。政府は計21万トンの備蓄米放出を決め、初回の15万トン分の入札を3月10~12日に実施。そのうち94%はJA全農が落札した。引き渡しは3月18日から始まり、3月下旬から店頭に並ぶスケジュールを描いてきた。JAは落札金額に輸送費や事務経費など必要なコストだけを加えた額で販売するというが、実際にスーパーなどに並ぶのは4月以降になる。2回目の入札は同26日から始まるものの、店頭販売の際は消費者の混乱回避を目的に「備蓄米」と表示しないよう取引先に要請している。
だが、3月9日までの1週間はコメの平均価格(全国のスーパー)が5キロあたり4077円と初めて4000円台を突破。3月10~16日の平均価格は前年同期の2倍を超える4172円となった。コメの価格上昇は外食産業などに幅広く影響している。大手牛丼チェーン「すき家」は3月18日から全体の5割の商品を値上げすると発表。看板の牛丼は「並盛」が450円から480円(税込み)になり、20~50円値上げされている。
筆者も3月下旬にスーパーで10キロのコシヒカリを購入してみたが、9000円超という価格に驚いた。とはいえ、食生活においてコメが欠かせないという家庭も多いことだろう。1日でも早く価格が下降してほしいのが国民の切なる願いだ。
ただ、石破政権の対応はあまりに遅い。そもそも政府が説明してきたコメ価格高騰の理由は次のようなものだった。2024年産米の生産量は679万トンと前年産より18万トン増えたものの、JAなどの集荷業者が買い入れたコメは今年1月末時点で前年同期比23万トン少なかった。