医学部受験と東大受験は全く異なる性質のゲーム…東大理三、理二にそれぞれ子供を合格させた親が幼少期に子供にしてあげていたこと

医学部人気が止まらない中、医学部受験全体の難易度も上昇し続けている。そんな中、子供を医師にしたいなら、それなりの戦略が必要だ。
自身も医学部卒で、医学部受験塾「桜凛進学塾」塾長の新宮竹虎氏に、医学部受験のポイントなどについてまとめて聞いたーー。みんかぶプレミアム特集「医学部受験 完全攻略法」第6回。
目次
医学部受験を見据えた中学受験塾選びで一番大切なこと
中学受験について、私の経験から本当に大切なことをお話ししたいと思います。
実は、中学受験の真のポイントを教えられる講師というのは、専門塾にも驚くほど少ないんです。考えてみれば当然ですが、開成や武蔵のような超難関校に合格した経験がないと、本当の意味で中学受験を教えることはできません。
私自身はラ・サール学園に合格しましたが、その最大の要因は良い先生との出会いでした。久留米大学附設から東大に進学された先生がいて、その方から受験の「勘所」を教えてもらったことで急激に伸びたんです。
この「勘所」というのが全然違うんですよ。だからこそ、例えばサピックスの中でも、良い先生から教わることが重要なんです。白金高輪校や南浦和校といった、サピックスの中でも中核となる校舎にしか、本当に優秀な講師はいないんです。結果的に上位クラスにそういう良い先生が多く配置されるから、上位クラスに入ることも重要になってきます。
サピックスの白金高輪校なんかだと、灘出身から東大、というような経歴を持つ先生も多いですからね。
中学受験で大事なのは、単なるテクニックじゃなくて「勘所」なんです。これは私の持論なんですが、東大生って、小・中・高のどこかの段階で、東大生か東大出身の先生に教わった経験があるものなんです。それは、東大受験でも勘所がわからないと闇雲に勉強してしまい東大には受かりにくくなりますが、東大にいた人に教えてもらえれば受験のポイントがわかって効率的に勉強できるからです。
そういう良い先生に出会える確率が高いので、中学受験塾は、やはりサピックスを選ぶのが正解だと思います。
ただ、子供にも早熟な子と遅咲きの子がいます。もし遅咲きタイプなら、無理に中学受験をせず、高校受験を選んだ方が良いでしょう。
医学部受験と東大受験は全く異なる性質のゲーム…闇雲に鉄緑会に通えば良いわけではない
医学部受験と東大受験は全く異なる性質のゲームだと私は考えています。東大入試の最大の特徴は「考える力」が問われることにあります。基礎的な公式さえ理解していれば、あとは問題を見て考えれば解けるような出題が中心です。逆に言えば、この「考える力」がないと東大受験は非常に難しいものになります。
一方、医学部受験はどうでしょうか。実は医学部入試では、考えるというハードルはそれほど高くありません。むしろ大量の基礎知識をしっかりと身につけ、それを確実に運用できる真面目な学生が勝つゲームなのです。
この違いを理解すると、受験指導塾の選び方も変わってきます。「鉄緑会」は東大受験に特化した塾として有名ですが、だからといって医学部受験に必ずしも適しているわけではありません。医学部を目指すなら、医学部受験に強い塾を選ぶべきでしょう。
最近では、代表自身が医師である塾も増えています。医学部を目指すなら、講師陣を医学部生で固めている塾に通うのが賢明です。
ただ、当たり前ですが、鉄緑会に通いさえすれば東大に行けるようになる、ということでもないです。実際、鉄緑会は過去20年ほどで生徒数が2倍以上に増加しましたが、鉄緑会が台頭する前と後で、鉄緑会生が多く在籍する学校の東大進学率はあまり変化していません。つまり、鉄緑会の影響はそれほど大きくないのです。
ただし、鉄緑会には無視できない強みが二つあります。一つは東大理科三類に在籍している現役学生が教えてくれることで、東大受験勉強の「勘所」を直接学べること。もう一つは、理科三類志望の塾生が多く集まっているという環境面のメリットです。これらは鉄緑会の大きな価値だと言えるでしょう。