株価5割下落、円高同時進行という「最悪のシナリオ」…トランプ相場にビクつかないバリュー株FIRE投資家の「振り回されない投資術」

本稿で紹介している個別銘柄:J T(2914) 、三菱商事(8058)
米国のトランプ大統領による関税発動が未曾有の衝撃を与え、4月7 日には日経平均株価が一時2700 円超も急落した。2024年8月の「令和のブラックマンデー」に次ぐ下落は、激動の始まりを感じさせるには十分だ。日本銀行の利上げ延期もささやかれ、経済は不透明な展開が続いている。
政治の「不確実性」と経済の「混迷」が交錯する今、それを乗り越える道とは・・・。
バリュー株投資歴26年の経験を持つ「R i cky日本株研究所」氏(X : @j stockslab) にトランプ相場や日銀の金融政策への備えなどについて聞いた。短期連載全2回の第1 回ー一。(2025年4月18 日取材)
目次
消えない不確実性、円高リスクの警戒も必要に
ー一現在、トランプ氏の関税発動で株式市場が大きく揺れていますが、いかがですか?
トランプ氏の発言や政策は、株価に大きな影響を与えています。発言一つで市場が急上昇したり、急落したりする状況です。
ーー日銀の金融政策の動向についてはいかがでしょうか?
日銀の政策や金利動向も、株価や為替に影響しますが、これも予測は非常に難しいです。金利上昇や円高のリスクは常に意識していますが、特定のシナリオに賭けるのではなく、どんな状況にも対応できるポートフォリオを構築することが大切なのです。
株価3〜5割下落シナリオを常に想定
ー一予想や特定のシナリオに賭けてしまうのは、投資ではなく投機ですからね。
その通りです。私は「市場は予測できない」と割り切り、PER、PBR、自己資本比率を重視して下落リスクの低い銘柄を選ぶことに重点を置いています。過去の市場の教訓を活かし、株価が3〜5 割下落するシナリオを常に想定しています。
ーー「株価が3〜5割下落する」という想定は、どのような基準で算出しているのですか?
2008年のリーマンショックでは株価が半値になり、2020年のコロナショックでは3割下落したからですね。ただ私は、これらの金融危機をチャンスと捉え、優良銘柄を割安で購入することで配当金と資産を増やしてきました。
日本の企業は堅実な業績と増配傾向が続いていて、市場が不安定な時期でも配当金の安定性が際立っています。
私のポートフォリオの主力銘柄であるJ T(2914) や三菱商事(8058) は、コロナショックのような危機でも配当金をほぼ維持していましたしね。
さらに、近年では累進配当を採用する企業や、DOE (株主資本配当率)を重視する動きが広がり、魅力的な配当銘柄が増えています。