エア・ウォーター、トクヤマ、カネカ・・・著名投資家が熱視線を送る「勝ち抜く15銘柄」

本稿で紹介している個別銘柄:トクヤマ(4043)、クラレ(3405)、日本触媒(4114)、エア・ウォーター(4088)、カーリット(4271)、三井化学(4183)、三菱商事(8058)、日本パーカライジング(4095)、カネカ(4118)、ダイセル(4202)、リケンテクノス(4220)、大倉工業(4221)、群栄化学工業(4229)、ADEKA(4401)、ミヨシ油脂(4404)、DIC(4631)、綜研化学(4972)、新田ゼラチン(4977)、OATアグリオ(4979)
企業の決算発表が減り、投資家たちが夏季休暇で市場から離れるこの時期は、株価下落リスクが気になるところだ。自動車や電機といった輸出に大きく依存する業界では、トランプ関税によるコストの上昇や競争力の低下が懸念される。
そこで、関税の影響をあまり受けず、長期的な投資に適したセクターや銘柄にはどのようなものがあるのだろうか。今回も、個人投資家の名古屋の長期投資家こと「なごちょう」氏(@Nagoya_Tyouki)に、これからの市場動向や注目のセクター・銘柄について話を伺った。全2回の第2回。
(2025年5月21日取材)
目次
夏以降はディフェンシブ投資が主流
ーー夏以降の市場動向、特に日銀の金融政策やトランプ関税の方向性は、投資戦略にどのような影響を与えると予想しますか?
2025年夏以降の市場は、日銀の金融政策やトランプ関税の動向など、複数の外部要因により変動が予想されます。
・トランプ関税
2025年夏以降、トランプ政権が関税引き上げを強行した場合、グローバルなサプライチェーンに大きな影響が出る可能性があります。とりわけ、自動車や電機など輸出依存度の高いセクターは、関税によるコスト増や競争力低下が懸念されます。
一例として、自動車関連銘柄は、関税の影響で欧米市場での競争力が低下し、株価が下落するリスクがあります。一方で米国内需に依存する企業や、関税の影響を受けにくい生活必需品やヘルスケアなどのディフェンシブセクターは相対的に安定するでしょう。
ただ、現在の市場はトランプ関税の悪影響をある程度織り込んでいる印象です。2024年の株価水準を見ると、PERやPBRが低く、配当利回りが高い銘柄が目立つのは、市場が景気後退や関税リスクを過剰に警戒しているためと考えられます。
投資家としては、こうした織り込み済みのリスクを逆手に取り、割安な銘柄を仕込む戦略が有効です。
ただし、トランプ氏の発言は一貫性がなく、実際の関税導入がどの程度になるかは不透明です。90日間の猶予期間や交渉による緩和の可能性も考慮し、過度な悲観は避けるべきでしょう。
・日銀の金融政策
日銀が2025年に利上げを進める場合、円高圧力が高まり、輸出企業の収益が圧迫される可能性があります。特に、円高による業績悪化は自動車や電機セクターに影響を与えるでしょう。
ですが、市場はすでに1〜2回の利上げを織り込んでいるので、急激な政策変更がなければ影響は限定的だと思います。
また、米国の金融政策との連動も重要で、米国の利下げが進めば、円高圧力が強まるかもしれません。