なぜ「SAPIX生まれ東大育ち」のエリート集団チームみらいが嫌われ、大衆のための政党である参政党が熱狂的に支持されるのか

参院選が佳境を迎えている。台風の目はなんといっても参政党だろう。保守政党と紹介されたかと思えば陰謀論者の集まりと蔑まれたり、はたまたカルト集団だと断言されたりと酷い言われようだが、今回の参院選で躍進することは間違いない。一体、参政党とは何なのか――。辛口フリーライターの汐留太郎氏が持論を展開する。
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参政党は結局どんな集団なのか
これから様々な議論が交わされるだろうが、政策について分析することすら意味がないと断言できる。なぜなら、参政党は「愚かな大衆から支持を集めるために特化した集団」、それ以上でもそれ以下でもないからだ。
誤解しないでほしいが、これは参政党や支持者を批判している訳ではない。民主主義では賢い人も愚かな人も、富める者も貧しい者も、一票の価値は同じだ。ボリュームゾーンに向けてメッセージを発信し続けることでこれまで政治に関心を持たなかった人々が持っている票を掘り起こしたという時点で、民主主義を体現しているとも言える。これはラストベルトの見捨てられた人たちからの支持を得て返り咲いたトランプ米大統領にも重なる部分がある。
「俺はSAPIX生まれ、東大育ち、賢い奴はだいたい友達」チームみらい
一方、参政党とは対象的に苦戦しているのがチームみらいだ。東大卒をずらりと並べ、外資系コンサルティング会社や起業家、エンジニアといったピカピカの経歴の若者が「テクノロジーで政治を変える」と口を揃える姿は爽やかで、大手メディアからも好意的に取り上げられている。しかし、そこに大衆の熱狂はない。「俺はSAPIX生まれ、東大育ち、賢い奴はだいたい友達」という彼らのスタイルは、あまりにも大衆から乖離してしまっている。むしろ、嫌悪感を抱く人の方が多い。
大衆を扇動する能力に特化した参政党と、日本人の持つ知性や良心を信じて私心を捨てて立ち上がったチームみらい。一体、どこで差がついてしまったのだろうか。
批判が多い参政党の政策
まずは参政党についてだが、現在進行系で様々な批判が巻き起こっている。軍事専門家は「米軍基地を撤退させるなんて日本の安全保障が脅かされる」と警鐘を鳴らし、医師は「反ワクチンは公衆衛生の敵だ」と主張し、農業の専門家は「オーガニック農法は食料自給率を下げる」と警告し、フェミニストは「女の価値を産む産まないで決めるな」と怒る。どれもごもっともな意見ではあるが、これで参政党支持者が考えを改めるかといったら、むしろ逆効果でしかないだろう。