埼玉西武ライオンズはどうすれば「常勝チーム」になれるのか。ファン歴数十年の作家・樋口毅宏が、本気で再建を考えてみた

作家・樋口毅宏が埼玉西武ライオンズへの尽きせぬ思いを綴る短期連載「樋口毅宏 埼玉西武ライオンズへの愛と苦悩」。第1回では「西武は2025年優勝しない!」と言い切って終わったが、今回はその続きをお届けする。なぜ、そう断じたのか。その背景にある“打力不足”という致命的な課題。そして、過去の名選手たちの記憶から、今のライオンズをどう見るのか。樋口氏の筆が、再び火を吹く。
みんかぶプレミアム連載「樋口毅宏 埼玉西武ライオンズへの愛と苦悩」第2回。
目次
“戦力のバランス”が崩壊したチームに、優勝はない
前回、「2025年、埼玉西武ライオンズは優勝しない」と断言しました。
なぜそう言い切れるのか?
答えは簡単。埼玉西武ライオンズは「戦力のバランスが欠けているから」です。
セリーグで唯一貯金があり、首位を独走している阪神を見てほしい。岡田監督の「アレ」の名の下、日本一の座を取った一昨年のMVPである村上の復活。
デュプランティエをはじめとしたローテ陣。中継ぎエースの石井が頭部に打球を喰らって休養を余儀なくされた期間は7連敗したが、その後は憎たらしいほど強いチームに返り咲いた。
一昨年ほどではないものの持ち直してきた守護神岩崎。データで見ても防御率、失点、被本塁打、自責点がダントツに少ない。

で、これが重要。森下・大山・サトテル(遂にバッティング完全開眼)といった、とにかく打ってくれるクリーンナップ。チームの平均打率、得点、安打数、盗塁、長打率、出塁率がトップ。

とにかくバランスがいい。穴がない。
巨人見て。岡本という絶対四番がケガにより欠場したら〝並のチーム〟と露見しちゃった。ひとのことは言ってられない。じゃあ今の西武はどうよ?

打率も安打も打点もダントツ最下位のロッテより下!!!

被安打も失点も少ないけど、これじゃあね……。
去年セリーグ3位から這い上がり、日本一の座を下剋上した横浜DeNAにはマシンガン打線がある。現在は投高打低の時代。三割バッターが稀少な現代プロ野球において、「打つ」ことがどれだけ重要か。
例えばダルビッシュがいなくなった翌年の日ハム。マエケンがいなくなった翌年の広島。菊池雄星がいなくなった翌年の西武。
みんな優勝してる。エースがいなくなっても強いチームは強いままだ。
野球は守って勝つより、打って勝つ──極論じゃない現実
ところが丸を巨人に取られた途端、3年連続優勝していた広島は定位置のBクラスに戻った。
丸の重要性を認識していた工藤ソフバン監督(当時)は「ストップ丸」を徹底し、日本シリーズで巨人に8連勝、2年連続日本一になった。(ライオンズが優勝したのに日本シリーズ行きやがって。思い出してムカついてきた)
もっと遡ってみますね。事実を事実のままに言うと、読売巨人軍がV9したのは全盛期の王長嶋がいたから。(あのー、なのになぜ堀内恒夫が沢村賞の選考委員長なんですか。王長嶋がいたら勝つに決まってるじゃないですか。横浜の平松政次は201勝のうち4分の1が巨人からの勝ち星です。平松さんのほうがエラくないですか)
野球はとにかく点を取らなきゃ勝てない。断言するけどピッチャーよりバッターの方が大事なの。極端な話、“投手王国”もいいけど“山賊打線”が肝心。(極端な例外として落合博満が中日ドラゴンズの監督最終年は打率.228。得点419とリーグ最下位。ただし防御率は2.46とトップ。落合監督はホームランが出にくい名古屋ドームに根差した守備のチームを作ることで毎年優勝した。)
育てて、出ていかれて、また育てる──終わらない“FAスパイラル”
さて、以上を踏まえて、埼玉西武ライオンズがどうやったら常勝チームになれるか。監督、コーチ、選手、裏方スタッフなどの頑張りはもちろんのこと、身も蓋もないことを言います。