「塾を使いこなせ!」中受プロが伝授するライバルに差をつける「逆転の条件」

夏が終われば、中学受験はいよいよ本番フェーズに突入する。
9月から1月校入試まで、残された時間はおよそ4ヶ月。自由に使える土日は、祝日を含めても約30〜35日ほどしかない。週末には志望校対策講座や模試があり、過去問にも取り組むとなると時間はいよいよ足りなくなってくる。
夏に思うような成果が出なかった子は、どうすれば巻き返せるのか。ここからライバルに差をつけるにはどうすればよいか。 「秋以降の学習は他人と同じことをしていても差はつきません」と語るのは、個別指導塾Growy代表のユウシン氏。
「それでも秋から本気で仕掛ければ、逆転はまだ十分に間に合います。R80偏差値で5くらいは逆転の範囲内です」
秋以降にすべき努力の方向性をユウシン氏が紹介する。連載全2回の第1回。
目次
志望校に向けて、秋から親がすべきこと
まずは秋から本番までの受験全体の流れを確認しておきましょう。9月以降は塾は演習中心の授業に入り、週末には志望校対策講座が始まります。基礎が固まった子から順次、家庭でも過去問に取り組み始めます。
10月・11月と進むに連れ、憧れだけでなく現実的な成績も加味して志望校・併願校を決める時期になります。この時期は学校行事も多く、体力的に12月になると併願パターンを決めたり、1月校の願書を書いたり、親がさまざまな事務手続きで忙しくなります。また、風邪やインフルエンザの予防などにも気を払うため、緊張感が高まります。受験校へのアクセスを調べたり、ホテルを予約したりといった具体的な受験準備が始まります。
1月からは1月校の過去問や試験、2月1日からの本命受験に向けた最後の仕上げの時期になります。
残り4ヶ月ともなると、残された日数は120日あまり。そのうち土日祝は約30〜35日しかありません。残り時間が少ない中で本当に逆転なんてできるのか。そう感じているご家庭も多いでしょう。しかし、R80偏差値で5以内の差であれば、十分に射程圏内です。
これくらいの差なら、適切な志望校対策や受験当日の問題との相性や子どものコンディションによって、合格をつかむケースは珍しくありません。
大事なのは9月の段階で焦らないこと。よく「夏あんなに頑張ったのに伸びていない」と相談にいらっしゃるご家庭がいますが、夏の頑張りの成果が出るのは冬になってからです。
夏に積み上げた基礎力は、すぐに偏差値や模試の結果に表れません。しかし、夏にしっかりと基礎を築いた子は、これから過去問演習などを通じてどんどん応用力が上乗せされていくのです。
夏に頑張った家庭は、「これからの時期に学力が積み上がる土台ができた」と自信を持って学習に取り組んでください。