中学受験の勝敗は9月以降の親のサポート具合が左右する…小6秋以降ぐんぐん成績を上げる家庭の特徴と、10以上偏差値が上の学校に「下剋上合格」できる条件

中学受験の本番がいよいよ迫ってきている。「2月の勝者」になるために必要なことは何か。
『脳内メモリ最弱の僕が東大合格した人生が変わる勉強法』(実務教育出版)の著書もある、カリスマ家庭教師の横井佑丞(@yokkoGT)氏は、「9月以降は親のサポート具合がより中学受験の勝敗を左右します」と指摘する。親は子をどうサポートすれば正解なのか。また、「持ち偏差値よりもかなり格上の学校に合格する子も少なくありません」という。いったい、どんな条件がそろえばそんな「下剋上合格」ができるのか。同氏に聞いたーー。みんかぶプレミアム特集「中学受験 最強戦略」第4回。
目次
9月以降、中学受験生は何をしていけば良いのか
中学受験を控えたご家庭の多くは、9月以降は過去問演習が中心になると考えていらっしゃることでしょう。しかし実際のところ、9月から過去問演習に本格的に取り組めるのは、四谷大塚偏差値で55以上の優秀な受験生に限られます。
偏差値がそれに満たないお子様の場合、9月の時点でもまだ基礎固めが完了していないケースがほとんどです。これは9月初旬の模試結果を見れば明確になります。「基礎がまだ固まっていない」という現実が、データとして表れてくるのです。
偏差値50前後の、いわゆる「ボリュームゾーン」に位置するお子様をお持ちのご家庭は、この時期になると焦りを感じられることが多いようです。しかし、長年の指導経験から申し上げますと、これは毎年見られる極めて一般的な状況です。
基礎が固まっていない段階では、9月以降も夏期講習から継続してきた学習を着実に進めることが重要になります。具体的には、まとめテキストの内容をしっかりと定着させることです。9月後半から10月中旬にかけて、まとめテキストの知識を確実に身につけていきます。特に算数においては、基礎・標準レベルの解法を確実に習得することが求められます。
この基礎固めが完了して初めて、過去問を中心とした実践的な学習へと移行することができるのです。毎年、大多数の小学6年生がこのような学習プロセスを辿っています。したがって、9月初旬の段階で各教科の基礎が完成していなくても、志望校合格は十分に可能です。保護者の皆様におかれましては、過度にご心配される必要はありません。
9月上旬の模試の目的
9月上旬に実施される模試の本来の目的は、お子様の現時点での課題を明確にすることにあります。そのため、結果に一喜一憂される必要はありません。
この時期の模試結果を見て「まだ苦手分野が克服できていない」と落胆される保護者の方も多くいらっしゃいます。しかし、これは毎年繰り返される光景であり、特別なことではありません。実際のところ、ほとんどの受験生が入試直前の冬の時期まで、苦手分野との向き合いを続けることになります。
現時点で完璧でなくても、多くの場合、冬頃には必要な水準まで仕上がってきます。ですから、決して絶望的になる必要はありません。
ただし、夏以降はお子様の苦手分野克服のために、保護者の方の伴走がこれまで以上に重要になってきます。特に9月以降は、保護者の方にとってもサポートの負担が格段に増していく時期となります。
まず、過去問演習自体が非常に労力を要する学習です。お子様だけで完結させることは難しく、答え合わせやスケジュール管理など、保護者の方の適切なサポートが不可欠となります。さらに、この時期は塾のテキストレベルも上がるため、より一層の支援が必要になります。
お子様に過去問演習を完全に任せてしまうと、様々な問題が生じる可能性があります。例えば、こっそり解答を見てしまったり、間違っているにもかかわらず正解として処理してしまったりすることがあります。また、得点の計算や記録を省略してしまうケースも少なくありません。
このような状況を防ぎ、過去問演習を実りあるものにするためには、保護者の方による適切な管理が欠かせません。そのため、9月以降は保護者の方にとっても、なかなか合格点に届かない現状と向き合いながら、過去問管理・学習管理に忙殺されるという、精神的・時間的に追い込まれる時期となることを、あらかじめご理解いただければと思います。
過去問の結果、模試の結果をどう活用するか
過去問演習を始めた当初は、どうしても厳しい点数となることが一般的です。実際に取り組み始めてみると、合格最低点から30~40点も届かないケースが多く見られます。