第6回 宅地建物取引士に聞いた「稼げる資格を味方につけると仕事はどう変わる?」

こんにちは。本当に稼げる資格とは何か、資産形成のための資格を考える「みんかぶ資格部」。これまでお送りしてきた第1~5回を通して、気がつけば皆さんも随分と資格について詳しくなったかもしれません。そこで、今回より少し趣向を変えて、実際に資格を取得した方にインタビューを行い、試験対策から、実際に資格を取った後の収入や昇進のことまで、詳しくうかがいました。この第6回では「宅地建物取引士」、次の第7回では「公認会計士」の方のインタビューをお届けします!
目次
「宅地建物取引士」のおさらい
まずインタビューに入る前に「宅地建物取引士」についておさらいしましょう。
宅地建物取引士は、不動産業を営む企業においてしばしば耳にする資格で、「宅建士」という呼称を聞いたことがある人も多いかもしれません。そもそも個人間での不動産の売買には資格などの条件はありませんが、不動産の売買などの「仲介業」を行うには「宅地建物取引士」の資格は必須であり、契約に際して必要なステップは宅地建物取引士がいないことには完了しません。すなわち、不動産の取引では現場に資格取得者がいればいるほど業務がスムーズに進むのです。
宅地建物取引士が「独占業務」とするものは、具体的には以下の3つです。
- 不動産での重要事項の説明
- 重要事項説明書への記名・押印
- 契約書への記名・押印
「重要事項」とは、不動産を売買するにあたり、不当な契約を結んで思わぬ損害を被ることがないよう、あらかじめ知っておくべき事項のこと。お客様の多くは不動産の専門知識がなく、売買するのも初めてや不慣れであることから、宅地建物取引士が“専門家”として介入するのです。
資格取得にあたっては、土地や建物の種別から、関連する法令や制限、価格の評定に関することなどを学びます。取得は必ずしも簡単なものではなく合格率も15%前後ですが、一度取得すれば業務をより広く任せることができるため、合格者には資格手当を支給する企業も多いと言われています。
宅地建物取引士に一発合格した新人時代
ここからは宅地建物取引士の試験に合格したO.Rさんのインタビューをお届けします。
東京都在住の30代。大手不動産企業に勤務し、支店に勤めていた新卒1年目で宅地建物取引士を取得。現在は本社へ異動し、不動産の仲介業務に限らずM&Aにも携わるなど幅広い分野で力を発揮している。 |
―Oさんは元々、不動産業界を目指していたのでしょうか?
Oさん(以下、O):いいえ、実は金融系を目指していました。昔から「大きなお金を動かしたいな」という気持ちがあったのです。ただ、就職活動を進めるなかで今の会社に縁があって、内定をいただいたことで最終的に入社を決めました。
―その頃から宅建士のことは知っていたのでしょうか?
O:内定をもらってから入社前に少し不動産業について勉強することにしたのですが、そのときに宅地建物取引士の存在も知りました。結局、大学在学中はそこまで勉強を進められなかったのですが、本屋さんで買ったテキストや問題集を通じて宅地建物取引士の業務に少し触れることはできました。
―となると、本格的に勉強を始めたのは入社してからでしょうか?
O:はい、入社してから宅地建物取引士の存在が大きいことを日に日に実感したこともあり、勉強にも本腰を入れました。時間にすると、1日4~5時間ほどでしょうか。続けてやるのではなく、日中2時間・夜間3時間といったように、分けて勉強することで集中力を維持していました。
―そして秋の試験で一発合格……
O:たまたまというかラッキーというか、そういう運も否めないのですが、結果的に私は一発で合格することができました。150人ほどいる同期で合格できたのは1、2割でしたね。受験する人こそ多いのですが、合格ラインを超えるのは難しい試験だと改めて実感させられました。