日経平均過去最高値更新でも潜む落とし穴。fundnote川合直也氏が語る“今の相場の読み方”

本稿で紹介している個別銘柄:ソフトバンクグループ(9984),、アドバンテスト(6857)、サンリオ(8136)、フジクラ(5803)
2025年8月、日経平均株価はついに4万3,000円を突破し、過去最高値を更新した。新聞やテレビでは明るい見出しが踊る。しかし、国内の中小型株やIPO株を主戦場とする個人投資家にとって、この株高が必ずしも追い風になっているわけではない。
国内IPO株のスペシャリストとして知られ、fundnote株式会社でファンドマネージャーを務める川合直也氏は、むしろ“落とし穴”に注意すべき局面だと指摘する。(取材・ちょる子)
目次
大型株がけん引する「見かけ上の株高」
「直近の日経平均の上昇のうち、約1,000円分はソフトバンクグループ(9984)とアドバンテスト(6857)の寄与によるものです。日経平均は株価平均型指数なので、構成比率の高い銘柄が動けば指数全体を大きく押し上げます。その結果、大型株が牽引する“見かけ上の株高”になっているわけです」
こうしたソフトバンクグループやアドバンテストといった銘柄はNASDAQと連動する性格を持つ。そのため今回の日経平均最高値更新の背景には、米国市場との強い関係性があると川合氏は指摘する。
NASDAQの上昇を受けてソフトバンクGや半導体関連株が買われ、それが日経平均を押し上げている。「国内独自の好材料というよりも、米国発のリスクオン相場が波及している構図です」と川合氏は語る。
一方で川合氏は、指数と投資家の実感との乖離を指摘した。
中小型株や新興市場銘柄には依然として軟調な銘柄が多く、個人投資家のポートフォリオには「最高値更新」の熱狂が届いていないケースも少なくないという。
株高の背景にある「米国利下げ期待」
では、米国発のリスクオン相場はなぜ起きたのか。今回の株高の要因のひとつは、米国金融政策の転換にある。
「9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で0.25bpsの利下げはほぼ織り込まれています。さらに0.5bpsの利下げの可能性も意識されており、こうした期待が株高を下支えしています」
背景には、8月1日に発表された米国雇用統計の大幅な下方修正や、FRBメンバーからのハト派的な発言がある。市場はすでに「利下げ前提」で動いており、株価はその期待を先取りしている状況だ。
ただし、川合氏は過熱した株高に対して慎重な見方を示す。
「手放しで喜べる状況ではありません。たとえばサンリオ(8136)、フジクラ(5803)、ソフトバンクグループ(9984)などのように4月以降モメンタムが続いている銘柄の中には、ファンダメンタル的に割高になっている株も多い。ファンダメンタルズ的に高いと判断する投資家は利確のタイミングを見計らっており、この流れについていけない人も少なくないでしょう」と分析する。
投資家が注目するべきはジャクソンホールでのパウエル氏の発言
相場を占う直近のイベントとして注目されるのが、8月22日に開催されるジャクソンホール会議だ。