「無難なイケメン俳優」ではない、福山雅治のもう一つの顔…キャバクラで神対応、サブカル住民をも魅了

フジテレビを揺るがした一連の不祥事の渦中で、その名前が報じられた福山雅治。だが騒動の陰で語られることの少ないのが、彼の素顔と人間関係である。長年交流を重ねてきたプロインタビュアーの吉田豪氏は、イメージの裏側にある“サービス精神”や、意外なサブカル界との接点など、世に現れていないエピソードを明かす。
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リリー・フランキーはよき「代弁者」だった
前回、福山さんの元来のサービス精神が、歪な形で世間に伝わってしまうことを書きましたが、それでも福山さんはリリー(・フランキー)さんという理解者に出会えたのは幸運だったと思うんですよね。もともとリリーさんがやっていたJ-WAVEの『TR2 Wednesday』という下ネタだらけのラジオがあったんですけど、福山さんはそのリスナーで、そしたら番組内でリリーさんが「福山雅治とかそれくらいメジャーなゲストをブッキングしてほしい」と言ったから、すぐに福山さん自ら番組に売り込んで、なんのプロモーションでもないのに番組に出演したのが初対面で、それがいまでは親友になっているという。
その後、リリーさんは福山さんの代弁者みたいな存在になって、「イケメンの不幸は、いい音楽をやったところで、それが正しく伝わらない。人よりももっと努力して、もっといいものを作らないと届かない。それは大変な作業なんだ」みたいな感じで、福山さんが抱えてきた苦労や不遇をちゃんと言葉にしてくれていたんですよね。
取材中に自らのモノマネで場を盛り上げる
ちなみにボクと福山さんは、毎年年末になると『週刊SPA!』での「男が好きな男・嫌いな男ランキング」特集の対談で会ってるんですけど、ある時期まではボクがいろんな人とこのランキングについて語る座談会と、毎回1位になってる福山さんのインタビューが別に載ってて、それが数年前から一つにまとめられたって流れなんです。で、そのある時期までの福山さんインタビューの聞き手がすごくて、福山さん自身が選んでるんですけど、まずはボクが選ばれて、次の年が武田砂鉄さんで、その次が九龍ジョーで、どこまでマニアックになるんだと思ったら次が杉作J太郎(笑)。あの人、誰よりも雑誌を読むからこういう人選も本当にマニアックなんですよ。
そして、毎年会って話していると、福山さんのサービス精神に感心することがよくあって。たとえば、自分で自分のモノマネを連発してくれるんですよ。何かのエピソードを語るときに、本人自ら誇張した福山口調でやってくれる(笑)。福山さんが『アントニオ猪木をさがして』という映画のナレーションと、テーマソングとして『炎のファイター』のカヴァーを担当したとき、「てっきり倍賞美津子さんが歌った『いつも一緒に』(『炎のファイター』に、なかにし礼による猪木LOVEな歌詞を付けた名曲)のカヴァーなのかと思いましたよ」ってボクが言ったら、即座にあの声で「♪い〜つも〜いい〜っしょなの〜あ〜い〜が〜ある〜から〜」って歌い出したときは本気で喜んじゃいましたね。
そんな福山さんは雑誌やネットをめちゃくちゃチェックする人でもあって、実際に驚かされたことがあります。ボクが映画の宣伝で福山さんをインタビューしたとき、いきなり「あ、豪さん(聞き手)と氏神一番さん(カブキロックス)のトークも見ましたよ!」って言われたこともあって、ボクと氏神さんのDOMMUNEまでチェックしていたことに戦慄しました。おそらく配信を見たわけじゃなくて書き起こしサイトを見つけたんだろうけど、あの位置で活動している人がそこまでチェックしているのは異常ですよ!
ほぼプライベートで行ったキャバクラで見せた“神対応”
福山さんの所属するアミューズって、すごくしっかりした会社で、気軽に取材できるようなところではないんですよね。でも福山さん本人は、そこを飛び越えてリリーさんの仕事を受けたり、毎年のようにボクとの『SPA!』の企画に出たりと、全然メリットのない仕事でも普通に受けるんです。しかもタイミングは大体、年末の大きなライブ前で本当に忙しい時期。それでもきちんと合間に時間を作ってスタジオで対談してくれる。