なぜSAPIXママは大切にしていたカルティエの時計を売ってまで息子の教育にのめりこんでいくのか…都内学歴厨ママの痛すぎるエピソード

いつの時代にも教育ママは存在しているが、行き過ぎた教育・学歴熱は痛々しい。
教育ジャーナリストの四谷代々氏が、SAPIXに子供を小1から通わせていたママの痛すぎるエピソードを紹介するーー。みんかぶプレミアム特集「キャリアから考える中学受験の最強戦略」第7回。
目次
なぜSAPIXママは大切にしていたカルティエの時計を売ってまで息子の教育にのめりこんでいくのか
中学受験生の父親Aさんは自宅マンションのエントランスで、顔見知りの中学生と出会った。相手の方から元気に挨拶をしてくる。少年は本郷中学の制服を着ている。
「中学は楽しい?」と訊くと、カレは部活を頑張っていることを話し、楽しい毎日だと告げた。
Aさんがそれを自宅で妻に話す。「あの子、本郷は大好きって言っていた。良い学校なんだなあ」
すると、こう返ってきたという。
「あの子、SAPIXでαクラスだったのに開成を受けてないの?」
つまり、この妻は「第一志望の開成に進学できなかったなら、劣等感に駆られてずっと下を向いているはずだ」という思い込みをしているのだ。
「妻が息子の受験にのめり込んでいる理由が分かりました。独身時代に買ったカルティエの時計を売ってまで、SS-1に課金しているのは、第一志望の慶應の付属校に受からないと息子は一生学歴コンプレックスを背負うと思い込んでいるんです」
Aさんはそういってため息をついた。
第一志望に入って友達がいないよりは、第三志望で友達がいる生活の方が楽しい
中学受験にのめり込む親子はしばしば見かける。
課金して、時間をかけて対策をしても受験がうまくいかないことも多々ある。
その場合、基本、子供は平気だ。
なぜなら、進学先は「志望校に入れなかった子達をどうにかしよう」と努力するからだ。
たとえば、SAPIXが併願校で受けさせる某中学は入学式で校長が「希望した学校ではないかもしれませんが、ここに来たのは神のお導きと思って、ここで華を咲かせましょう」と諭すのだという。
御三家以外の中学はどこもどこかの併願校だ。学校側が受験に失敗して傷ついた子たちの自己肯定感を高めようと尽力する。そして、その「癒やす力」のプロであるからきちんと生徒たちの自己肯定感をあげていく。
それに子供なんてものは学校に入って友達ができて楽しければそれで満足をする。
第一志望に入って友達がいないよりは、第三志望で友達がいる生活の方が楽しいに決まっているからだ。
部活に入って、練習に忙しくなれば、レギュラー選手になれるかどうかの方で頭はいっぱいになって、中学受験の失敗なんて忘れてしまう。
小1からSAPIX通いだったが中堅校にしか受からなかった子も 悲しみを癒そうと異性との遊びにのめりこむ子がママ友同士の話題に…
ところが、悲しいことに例外もいる。中学受験に失敗して、その傷を癒すために「遊び」にのめりこんでしまう子だ。
娘が早稲田アカデミーから難関女子校に進学した母親がいる。Bさんとしよう。
Bさんは娘の小学校時代のママ友と久しぶりにランチをした。ママ友Cさんの娘は桜蔭を目指し、小学校1年生からSAPIXに通い、小学6年では個別指導も併用し、合計、月に20万円を塾代として支払っていた。
「うちの娘もCさんのお嬢さんも豊島岡を目指していましたが熱意が全然違いました。あちらは電車に乗ってSAPIXに通っていて、うちは近所の早稲田アカデミーですし」
結果はBさんの娘もCさんの娘も豊島岡に合格しなかった。