SAPIXの説明会は「半分ホントで半分ウソ」教育投資ジャーナリストが暴露 なぜSAPIX最上位層は“別の塾”に通うのか

わが子の教育にかけた費用は、本当に「元」が取れるのか――。これまで教育の世界では「品がない」とタブー視されてきた「コスパ」という視点から、今注目の2人が対談。学歴活動家として独自のポジションを築くじゅそうけん氏と、保護者目線で業界の闇に切り込む教育投資ジャーナリストの戦記氏が、中学受験のリアルを徹底的に語り合った。
中学受験にかかる衝撃的な費用の実態から、中学受験からの「賢い撤退」戦略まで、綺麗事なしの本音トークは中学受験を検討するすべての保護者にとって必見だ。短期連載全10回の第10回。(対談日:10月3日)
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目次
佐藤ママ「東大理三4人合格」の奇跡はなぜ起きたか
――では次の質問です。中学受験の世界では「佐藤ママ」が非常に有名ですが、彼女の教育法について、どのようにお考えでしょうか。
じゅそうけん: 佐藤ママに関しては、僕自身が親の立場ではないので、その教育論の是非についてコメントする立場にはありません。ただ一つ、純粋に事実として申し上げたいのは、お子さん45人を連続で東京大学理科三類に合格させた、という実績が、統計的に見て、ほぼあり得ないレベルの偉業であるということです。その点に関しては、もう驚愕としか言いようがなく、本当にすごいことだと思います。僕の中では、「佐藤ママの4人連続東大理三合格」と「鳩山家の5代連続東大合格」は、日本教育史における二大奇跡ですね。
佐藤ママの本は「あえて読まない」戦記氏が語る理由
戦記: 私は、佐藤ママの本を一冊も読んだことがありません。なぜなら、彼女の教育法には「再現性がない」と考えているからです。これは彼女を否定しているわけではなく、むしろ逆です。あまりに特殊な成功事例なので、一般家庭が安易に真似をすると、かえって思考が歪められてしまう危険性がある。だから、あえて読んでいないんです。
教育というのは、テキスト化できない「文化資本」の部分が非常に大きい。例えば、「家に帰ったら『ただいま』と言う」「靴を揃える」「食事の前に手を洗う」といった、ごく当たり前の生活習慣。こういったことは、本には書かれていませんが、子どもの成長に決定的な影響を与えます。佐藤家には、我々には見えない、そうした独自の文化やルールがあったはずです。それを知らずに、表面的な勉強法だけを真似しても、同じ結果には絶対になりません。もし本当に彼女の教育法の秘密を知りたいなら、誰かが佐藤家に3日間ホームステイしてみるのが一番早いでしょうね(笑)。
SAPIXの説明会は“半分ホントで半分ウソ”
――次はSAPIXについての質問です。SNSなどでは、「SAPIXで上位校に合格する子は、SAPIXの授業についていくための個別指導塾にも通っている」という話をよく聞きます。しかし、SAPIXの説明会では、「それはデマで、ほとんどの生徒は併用していない」と説明されます。実際はどうなのでしょうか。